外国人人材を採用するのに、就労ビザ申請の必要書類や手続きの流れがよくわからないと思っていませんか?
本記事では、在留資格の中で比較的多い「技術・人文知識・国際業務」を例にして、就労ビザ申請の必要書類と手続きの流れをまとめます。
人手不足の解消や優秀な人材を確保するために、外国人雇用を検討している方はぜひ参考にしてください。
Contents
外国人のビザ申請|手続きの流れ【必要書類申請・採用手続き】
外国人が日本で働くには、就労ビザ申請が必要です。ここでいう「就労ビザ申請」とは、正確には「在留資格認定証明書交付申請」のことです。
外国人が行う業務によって、「教授」「芸術」「医療」など異なる在留資格を申請することになります。
ここでは、外国人の就労ビザ申請の流れを解説します。
ステップ① 在留資格認定証明書交付申請を行う
日本国外にいる外国人人材を呼び寄せる際は、勤務予定地を管轄する地方出入国在留管理局へ、在留資格認定証明書の交付申請を行います。
まず、日本国外の申請人と日本国内の招へい人が行うことをまとめます。
日本国外の申請人
在留資格認定証明書交付申請を行うにあたり、日本国外の申請人は必要書類を揃えて日本国内の招へい人へ提出する必要があります。
主な必要書類として、卒業証明書・職務経歴書など、学歴・職歴が証明できるものや顔写真があります。
なお、すでに国内にいる外国人人材を採用する場合は、申請書類や必要書類が異なるため注意が必要です。
例えば、国内の留学生を新卒で採用するケースでは、「在留資格変更許可申請」を行い、在留資格を「留学」から就労可能な在留資格に変更します。申請時には、在留カードやパスポート、資格外活動許可書などが必要になります。
日本国内の招へい人
雇用主企業など日本国内の招へい人は、地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行います。
申請時には、申請者に関する必要書類のほかに、雇用主企業に関する必要書類もあり、これらをまとめて提出します。必要書類の不備により不許可になるケースがあるため、すべての必要書類が揃っているか慎重に確認しましょう。書類作成に関しては、行政書士に依頼することも可能です。
なお、証明書の申請から入手までの審査期間は、2週間~3ヵ月ほどになると考えられます。
ステップ② 日本大使館/領事館などでビザ(査証)申請
在留資格認定証明書が発行されたら、原本を国外の申請人へ送付します。申請人は、在留資格認定証明書とそのほかの必要書類を揃えて、日本大使館または領事館でビザ(査証)申請を行います。
就労目的などで日本へ中長期在留をするビザ(査証)を申請する場合、短期滞在と比較して審査に時間がかかるのが一般的です。しかし、「在留資格認定証明書」を提示してビザ(査証)申請を行うことで、通常は5営業日以内に発給を受けられます。
ステップ③ 査証発給/日本入国
ビザ(査証)の発給を受けた申請人は、日本入国の準備を進めます。原則として、上陸は在留資格認定証明交付日から3ヵ月以内に行わなければなりません。
入国時に上陸港にてビザ(査証)および在留資格認定証明書を提示し、在留カードの交付を受けます。
ステップ④ 受け入れ準備と来日後のサポート
雇用主企業は、外国人労働者の受け入れ準備と来日後のサポートを行います。
就労ビザ申請後の審査期間中を活用して、以下のような受け入れ準備を進めておくとよいでしょう。
- 住居の手配
借り上げ社宅または一時的に滞在できるウィークリーマンションなどの手配が必要です。 - 日本語教育の手配
日本語の話せない外国人に関しては、日本語学校・マンツーマンレッスン・日本語教材などを手配します。
そのほかにも、来日時のフライトの手配、オリエンテーションの担当者やプログラムを決めておく必要があります。
居住地が決定した後の住民登録や銀行口座の開設など、外国人労働者本人が行うことはほかにもたくさんあるため、担当者を選任してサポートできる体制を整えておくとよいでしょう。
就労ビザ申請の必要書類
申請する就労ビザに応じて必要書類は異なります。
ここでは、就労ビザの中で多い「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請時に必要な書類を解説します。
【注意】企業のカテゴリーによって必要書類は異なる
企業のカテゴリー(規模)に応じて必要書類は異なるため、注意が必要です。
企業規模に合わせてカテゴリーは、以下の4つに分けられます。
カテゴリー | 該当企業 |
カテゴリー1 |
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カテゴリー2 |
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カテゴリー3 | 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) |
カテゴリー4 | 上記のいずれにも該当しない団体・個人 |
参考:出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」
全カテゴリーに共通する必要書類
全カテゴリーに共通する必要書類は、以下のとおりです。
【外国人が用意する必要書類】
- 顔写真(縦4cm×横3cm)
- 専門士または高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書(学歴要件が専門士または高度専門士の場合)
【企業が用意する必要書類】
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 返信用封筒(宛先を明記し404円分の切手を貼付)
- 各カテゴリーに該当することを証明する文書(例:上場企業の場合は四季報の写しなど)
カテゴリー1・2に該当する企業の場合、そのほかの資料は原則不要です。
カテゴリー3・4に共通する必要書類
カテゴリー3・4に該当する企業については、以下の資料も提出する必要があります。
【外国人が用意する必要資料】
- 学歴や職歴を証明する文書(大学や専門学校の卒業証明書、履歴書など)
【企業が用意する必要書類】
- 外国人労働者の活動内容を明らかにする資料(雇用契約書など)
- 登記事項証明書
- 事業内容を明らかにする資料(会社案内書など)
- 直近年度の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
必要書類と併せて知っておきたい外国人人材を採用するまでの流れ
外国人人材の採用は、深刻な人手不足の解消や優秀な人材を確保する手段として、多くの企業に注目されています。ここでは、外国人人材を採用するまでの流れを解説します。
外国人採用方針の決定
はじめに、企業として外国人採用方針を決定します。
外国人に担当してもらう予定の業務に、該当する就労ビザがあるかを確認しましょう。外国人の雇用に必要な就労ビザは19種類あり、取得条件は異なるため注意が必要です。
就労ビザ19種類を含め、外国人の就労が許可されている在留資格の種類を知りたい方は、「内部リンク:【在留資格一覧】外国人の就労ビザは何種類?雇用状況とともに解説」をご覧ください。
社内の担当者の選任
外国人人材の採用にあたり、社内の担当者を選任する必要があります。
ビザ申請には手間がかかるため、外国人候補者とコミュニケーションを取り、手続きをスムーズに行えるように取り計らいます。英語・中国語など、外国人候補者の国籍に応じて、多言語を扱える担当者がいるとよいでしょう。
また、外国人を常時10人以上雇用する場合は、外国人労働者の「雇用労務責任者」を選任する必要があります。
求人募集をかける
外国人採用の方針と担当者が決まったら、実際に求人募集をかけます。
募集の方法として、以下のようなものが挙げられます。
- 外国人専門の求人サイトや派遣会社
「NIPPON仕事.com」「グローバルパワー」など、外国人向けの求人サイトや派遣会社を活用できます。留学生や永住者なども含む多くの外国人が登録しており、ビザ申請や更新も任せられるのがメリットです。ただし、採用決定後に紹介料が発生するため、事前の確認が必要です。
- SNSの活用
ビジネス用SNS「LinkedIn」を活用して、候補者に直接アプローチする方法もあります。登録者には優秀な人材が多く、担当者の手腕が問われるでしょう。また、自社の宣伝で利用している「Twitter」「Facebook」などに求人を出すことで、費用を大きく削減できるメリットもあります。
- リファラル採用
すでに外国人労働者を雇用している場合は、外国人社員に友人や知人を紹介してもらう「リファラル採用」も効果的です。業務内容や報酬、職場の雰囲気などを聞いたうえで応募してもらえるため、比較的ミスマッチングのリスクが低いと考えられます。外国人社員に「この会社を紹介したい」と思ってもらえるような職場環境づくりがポイントです。
- ハローワークや求人サイト
国内の外国人人材は、ハローワークや求人サイトを利用して就職・転職活動をしているケースもあります。ハローワークのインターネットサービスや「ジモティー」「LINEキャリアNews」など、無料・有料のさまざまな求人掲載サイトがあります。掲載できる情報量や担当者の手間などを考慮しつつ、自社に合った求人サイトを利用しましょう。
まとめ
外国人の就労ビザ申請の必要書類や手続きの流れを解説しました。
就労ビザ申請には手間がかかるため、スムーズな手続きのために必要種類をきちんと確認してから申請しましょう。はじめての場合は、行政書士など専門家の手を借りるのもよいでしょう。
外国人人材の採用は、人手不足の解消や若くて優秀な人材を確保できるなど、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。外国人雇用を検討している方は、この記事をぜひ参考にしてください。