建設業で独立したものの、なにかと上手くいかず失敗するケースは決して少なくありません。成功を掴むには、独立のリスクを把握し事前に対策することが重要です。
そこでこの記事では、建設業の独立でよくある失敗例と、失敗を避けるための対策方法を解説します。独立後に後悔しないための大切な情報ですから、ぜひ最後までお読みください。
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建設業の独立でよくある失敗例
建設業で長年働き、ある程度のスキルを身に付けてから独立を考える方は少なくありません。独立することで、趣味や家族のための時間が増える、高収入を狙えるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、独立したものの思っていたよりも上手くいかずに失敗するケースも。
ここでは、建設業の独立でよくある失敗例を4つご紹介します。
思っていたより仕事がない
建設業の独立でよくある失敗のひとつは、思っていたよりも仕事がないことです。
独立にあたり、勤めていた建設会社・取引先・親戚などのコネで仕事を確保したものの、その案件終了後、新規案件の確保がままならず仕事量がガクンと減るケースは珍しくありません。独立直後は知名度や実績がなく、新規顧客確保の難しさが最初の壁になると考えられます。
仕事が順調なときも営業を怠らず、次の案件を確保することは特に重要です。ひとつの現場終了後、次の現場へとスムーズに動けていたのは、勤めていた会社の営業担当者のおかげです。独立後は営業も自分で行わなければならず、自動的に次の仕事が入ってくるわけではありません。
また、欠勤や遅刻を繰り返すなら信頼を失い、徐々に仕事を失う原因になります。
勤めていた建設会社の大きな看板の庇護のありがたみに気づいたころには手遅れです。
仕事量が多すぎて一人で回せない
建設業の独立でよくある失敗に、仕事量が多すぎて一人で回せないことも挙げられます。
独立直後は、一人親方または社長としてやるべきことがたくさんあります。今までは勤めていた会社の事務員や営業担当者が行っていた仕事も、独立後は自分自身で行わなければなりません。
さまざまな業務や雑用に追われ、本業がおろそかになるケースもあるようです。また、仕事のパフォーマンスが落ちたり体調を崩したりする場合もあります。
新規案件や利益の確保が難しくなり、経営が悪化することも珍しくありません。それまでは器用に仕事をこなせていたのに、独立後は収入に直接つながらない雑務に振り回されてしまうのです。
単価が低くてなかなか利益が出ない
単価が低くなかなか利益が出ない状況が続くのも、建設業の独立でよくある失敗のひとつです。
独立直後は下請けの仕事が多く、安い案件ばかりで「仕事量は増えても利益が上がらない」ことがあります。単価の低い仕事に追われて新規顧客の開拓や戦略を練るために必要な余裕がなくなると、泥沼に足を踏み入れたような状況に陥り、そこから抜け出すのは簡単ではありません。また、忙しい中無理をして体調を崩したり、突然仕事を失ったりするリスクも考えられます。
個人や小規模経営で顧客をコンスタントに獲得し続けるには、大手との価格競争に負けないよう、実績やブランドを打ち出すなどの工夫が必要です。作戦なくして独立するなら、いつまでも低価格の仕事を続けることになり、経営を安定させるのは難しいでしょう。
お金の管理が上手にできない
建設業の独立でよくある失敗に、お金の管理が上手にできないことも挙げられます。
独立してからは、お金の管理も自分で行わなければなりません。中には「売り上げ=自分の給料」であるかのように、手元にあるお金を使ってしまう方もいるようです。
しかし実際の給料は、売上から経費と税金を差し引いた額であるため、お金の管理には注意が必要です。
個人事業主の場合、1年に1回確定申告を行い、税金を支払うことになります。よく考えずにお金を使ってしまうと、後で支払うべき税金分が残らないでしょう。
また、従業員がいる場合は大きな額のお金を動かすことになりますが、その分を考慮に入れたお金の管理ができないことで、従業員の給料が支払えなくなるケースもあるようです。
例えば、「必要だから」と高額な工具を買い、給料を支払うタイミングで「お金がない」とならないよう注意が必要です。
建設業の独立で失敗しないための対策
建設業の独立で失敗しないために、事前準備をしっかりと行う必要があります。対策として、以下の5つのポイントが挙げられます。
- 独立におけるデメリットを理解する
- 資金を集める
- 取引先を複数確保する
- アウトソーシングやSNSを活用する
- 労災保険の特別加入を検討する
ここでは、それぞれの対策を具体的に解説します。
独立におけるデメリットを理解する
建設業で独立するには、メリットだけでなくデメリットを理解することも大切です。
独立を検討する際は、「趣味や家族のために使える時間が増える」「高収入が狙える」「人間関係の悩みから解放される」など、メリットばかりに目が行くことでしょう。しかし、会社に所属しないことで以下のようなデメリットが発生することを忘れてはなりません。
- 自分で営業して新規案件を獲得しなければならない
会社員のときは営業担当者が獲得してきた業務をこなすだけでよかったのに、独立すると業務と並行して営業も自分で行わなければなりません。見積書の作成やスケジュールの組み立てなど、営業に付随するさまざまな雑務に追われることにもなるでしょう。また、会社員のときは閑散期でも支払われていた給料ですが、独立後は仕事がなければ収入は得られません。 - 事故やトラブルの責任を負うことになる
事故やトラブルが発生した場合、独立後はすべて自分で責任を負うことになります。思わぬトラブルやクレームの対処に追われて、業務に支障が出ることも考えられます。そうならないために、会社員のとき以上に慎重かつ気を使って作業を行わなければなりません。
資金を集める
建設業の独立を検討する際は、資金を集めることも重要なポイントです。
業種にもよりますが、独立にはお金がかかるものです。例えば、以下のような出費が考えられます。
- 事務所の準備
- 車両や道具
- 材料の仕入れ
- 人件費
- 機材のリース代
ギリギリの資金で独立すると、不測の事態が生じた際に対応できなくなります。
また仕事を請け負った場合、請負金が振り込まれるのは翌月末または翌々月末が一般的です。従業員がいるケースでは、給料の支払いが請負金の振込より先になるため、まとまった資金を用意しておく必要があります。
取引先を複数確保する
建設業の独立で失敗しないために、取引先を複数確保しておくことも大切です。
取引先をひとつに限定していると、契約を打ち切られたりトラブルが生じたりする際に、仕事を失うことになります。仕事がなくなってから営業をはじめるのでは遅すぎます。前述のとおり、請負金が振り込まれるまでに時間がかかるため、先を見据えた仕事の確保が重要です。
複数の取引先を確保するには、営業力を身に付ける必要があります。ライバルに差をつけるため、セールスポイントをアピールしたり各種資格を取得したりして、取引先を確保する努力が必要です。
このすべてを独立してからはじめるのは難しいので、独立前に計画的に準備しておくと安心です。
アウトソーシングやSNSを活用する
建設業の独立で失敗を避けるための対策として、アウトソーシングやSNSを活用することも挙げられます。
独立すると、業務に関連するさまざまな作業をすべて自分で行わなければなりません。本業の仕事量が増えると、事務処理や会計にかける時間がなくなってしまうことも考えられます。また、慣れない事務処理に時間がかかってストレスになる場合もあります。
そこで、事務処理や会計などはアウトソーシングを活用し、その道のプロに任せるとよいでしょう。作業を分担することで、ストレスから解放され効率よく働けるようになります。
また、SNSの活用は新規顧客の獲得や人材確保に役立ちます。Instagram・Facebook・YouTubeなどを駆使して、作業実績を紹介したり人材募集をしたりして成功している方も少なくありません。これまでの人脈を活かしたり自ら足を運んで営業したりすることも大切ですが、それに加えてSNSを活用することで、新たな客層の獲得やSNS世代の人材確保につながると期待できます。
労災保険の特別加入を検討する
建設業の独立で失敗しないために、労災保険の特別加入を検討することも大切です。
独立して個人事業主になると労災保険の対象から外れてしまい、万一の事故でケガや病気をすると、労災保険を使えずに全額自己負担で治療することになります。
しかし、中小事業主や一人親方などを対象に、任意で労災保険に特別加入できる制度があります。特別加入制度を活用することで、仕事中のケガや病気には労災保険が適用され、自己負担なしで治療できるようになり安心です。また、療養のために仕事ができない期間も休業補償により生活が守られ、障害が残ったり死亡したりする場合にも労災保険の手厚い補償が受けられます。
建設業で独立した一人親方の場合は、特別加入団体をとおして労災保険に任意加入できます。
「一人親方団体労災センター」は、安い・早い・安心をモットーに、全国の一人親方が安心して労災保険に特別加入できるようサポートいたします。
まとめ
建設業の独立で失敗しないために、よくある失敗例と対策をまとめました。
独立によるメリットは大きいですが、失敗のリスクもあるため事前の対策は欠かせません。最低限、以下の5つのポイントを押さえて独立を検討しましょう。
- 独立におけるデメリットを理解する
- 資金を集める
- 取引先を複数確保する
- アウトソーシングやSNSを活用する
- 労災保険の特別加入を検討する
5つ目のポイントである労災保険の特別加入についてのご相談は、「一人親方団体労災センター」までお気軽にお問い合わせください!