「一人親方が労災保険に特別加入するデメリットは?」
「加入した際にどのようなメリットがある?」
上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
一人親方が労災保険に特別加入する際のデメリットとして特に考えられるのは、費用面の問題です。
年会費や入会金が発生するため、コスト面の負担が生じます。
ただし、その分充実した補償を受けられたり、万が一の際のリスクを軽減できたりするメリットがある点も覚えておきましょう。
この記事では、一人親方が労災保険に特別加入するデメリットをまとめました。
あわせて、加入のメリットや費用・補償内容もご紹介していますので、加入を検討している方は参考にしてください。
Contents
一人親方が労災保険に特別加入するデメリット
一人親方が労災保険に特別加入するデメリットとして、以下の3つがあげられます。
- コストがかかる
- 必ずしも業務災害認定されるとは限らない
- 手続きの処理に手間がかかる
それぞれの内容について、詳しくみていきましょう。
コストがかかる
一人親方が労災保険に加入する場合、補償を受けるための費用が発生します。
発生するコストの例として考えられるのは、以下のとおりです。
- 組合費
- 入会金
- 更新手数料
- 労災事故の際の手続き費用
- 退会時の脱退手続き費用
- 組合証再発行手数料
これまで労災保険に加入していない場合、上記の費用によって負担が増えてしまうでしょう。
ただし、発生する費用は選ぶ団体によって異なります。
上記で紹介した費用のうち、保険料+組合費・入会金のみでOKな場合もあるようです。
加入を検討する場合は、各団体どのような費用を支払えば利用できるか確認しましょう。
必ずしも業務災害認定されるとは限らない
労災保険に加入しても、必ずしも業務災害認定されるわけでない点に注意が必要です。
業務災害に認定されるのは、仕事中に発生した災害が対象になります。
その中でも「業務内容が明確になっている時間帯」に発生した災害に対して労災保険が利用可能です。
業務内容が明確になっていれば休憩時間や時間外労働・休日労働の際も適用されます。
また、通勤時に災害が発生した場合も、労災保険の対象になるケースがほとんどです。
しかし、仕事外に発生した災害や本人に過失がある場合は、業務災害認定されない点に注意が必要です。
手続きの処理に手間がかかる
労災保険の特別加入は、手続きの手間がかかる点もデメリットとしてあげられます。
団体や組合を通さなければ加入できないため、事務処理を委託する時間と手間がかかります。
手間を削減したいからといって、個人での申し込みはできません。
団体や組合を選ぶ時間や、実際に依頼する手間がかかる点は理解して、労災保険の特別加入を検討しましょう。
一人親方が労災保険に特別加入するメリット
労災保険に特別加入するメリットは、以下の3つがあげられます。
- 万が一の際に医療費負担が減る
- 休業補償が利用できる
- 障害年金や遺族給付が利用できる
上記のメリットについて、詳しくみていきましょう。
万が一の際に医療費負担が減る
一人親方が労災保険に加入すると、万が一災害に見舞われた際の医療費負担を減らせるのがメリットです。
原則として治療費の負担がなくなるため、労働災害によるケガや病気を抱えたまま無理に働かなくて済みます。
特に治療が長期間にわたると、医療費の負担も大きくなるでしょう。
経済的な心配を減らしたいなら、労災保険の特別加入を活用できます。
休業補償が利用できる
労災保険に特別加入すると、休業補償が利用できます。
そのため、働けなくなった場合に収入が失われるリスクを軽減できるでしょう。
労働災害によって休業した場合、4日目から給付基礎日額の6割を受け取れます。
加えて特別支給金が2割支払われるため、最終的に受け取れる金額は8割です。
休業中も収入が補償されることで経済的・精神的不安を軽減できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
障害年金や遺族給付が利用できる
障害年金や遺族給付が利用できるのも、労災保険に特別加入するメリットです。
労働災害によって後遺障害が残った場合、障害等級に応じた障害年金が利用できます。
もしくは障害一時金が支給されるため、万が一の際の補償が充実しているといえるでしょう。
また、加入者が亡くなってしまった場合は遺族給付が利用可能です。
遺族給付は遺族の人数によって異なり、給付基礎日額をもとに計算・支給されます。
一人親方が労災保険に加入しない場合のリスク
一人親方が労災保険に特別加入しないと、仕事の幅が狭くなってしまうリスクがともないます。
特に事故の可能性が高い現場に入れなくなるため、場合によっては大幅な収入減につながるでしょう。
仮に現場に入れたとしても、労働災害に見舞われた際の補償を受けられません。
結果として収入がすべて失われてしまい、経済状況の圧迫につながります。
元請が労災保険に加入していたとしても、一人親方は適用外です。
上記のようなリスクがともなうため、労災保険の特別加入を利用しておくと安心です。
労災保険に特別加入できる人の範囲
労災保険の特別加入は、誰でもできるわけではありません。
加入団体ごとに対象者が異なるため、事前に確認しておきましょう。
例えば、一人親方団体労災センターから加入できるのは「建設事業を営む方」で、以下に該当する方のみ対象です。
- 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
- 建設の事業(大工、左官、とびの方など)
- 漁船による水産動植物の採捕の事業(漁船に乗り組んでその事業を行う方に限ります)
- 林業の事業
- 医薬品の配置販売(薬事法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業をいいます)の事業
- 再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業
労災保険に特別加入した際の費用
労災保険に特別加入する場合の費用は、団体によって異なります。
例えば、一人親方団体労災センターから労災保険に特別加入する場合の費用は「労災保険料+組合費(月額500円)」となります。
初年度は1,000円の入会金が発生し、それ以外の費用負担は発生しません。
また、労災保険に特別加入する場合は、以下の2点も把握しておきましょう。
- 労災保険に特別加入できる人の範囲
- 労災保険に特別加入した際の費用
それぞれの内容について、詳しく解説します。
利用できる支払い方法について
利用できる支払い方法も、加入団体によって異なります。
例えば、一人親方団体労災センターから労災保険に加入する場合、利用できる支払い方法は以下の3つです。
- 銀行振り込み
- コンビニ払い
- 口座振替
銀行振り込みおよびコンビニ払いの場合は「加入申込書兼誓約書」の送付後に計算された費用が案内されます。
納入通知書が届いたら、指定の方法で支払いを済ませましょう。
口座振替の場合は、次年度の費用が年3回に分けて指定口座から引き落とされます。
ただし、口座振替は加入者本人の口座かつ分割支払いのみしか取り扱われていません。
対応している支払い回数について
対応する支払い回数についても、団体によって異なります。
例えば、一人親方団体労災センターで対応している支払い回数は、一括払いと分割払い(年3回)の2つです。
一括払いの場合は、加入月から年度末までの加入費用をまとめて支払えば問題ありません。
分割払い時は年度ごとに1,000円の分割手数料が発生し、初回請求時の金額に加算されます。
労災保険の特別加入に関するよくある質問
労災保険の特別加入に関するよくある質問として、以下の3つをご紹介します。
- 社長や経営者は労災保険に加入できる?
- 労災保険の特別加入は家族従事者にも適用される?
- 労災保険の特別加入はしなくても問題はない?
それぞれの詳細について、詳しく見ていきましょう。
社長や経営者は労災保険に加入できる?
結論、社長や経営者は労災保険の加入対象にはなりません。
そのため、万が一労働災害に巻き込まれたとしても自費での診療を受ける必要があります。
社長や経営者が労災保険を利用するには、中小事業主の特別加入を利用しましょう。
労災保険の特別加入は家族従事者にも適用される?
労災保険の特別加入は、原則家族従事者には適用されません。
適用されない理由は、労働基準法上の労働者に該当しないためです。
ただし、以下の条件を満たす場合は要件を満たす場合もあります。
- 事業主の指揮命令下に従っていることが明確
- 他の従業員と扱いが同様
適用可否の判断は難しいため、加入者の範囲を満たすかは各団体に相談してみるのがよいでしょう。
労災保険の特別加入はしなくても問題はない?
結論、労災保険の特別加入は義務ではありません。
ただし、加入しないリスクがともなうことは理解しておきましょう。
労災保険の特別加入を利用していない場合、受けられない仕事が出てくる可能性があります。
案件によっては、労災保険の特別加入を必須としている場合もあるでしょう。
また、加入していなければ災害に巻き込まれた際に収入が失われます。
障害が残った場合や死亡事故につながった場合の補償も受けられないため、加入しておくのが安心です。
まとめ
労災保険の特別加入によって考えられるデメリットは、加入によって費用負担が増える・必ずしも保険が適用されるわけではないなどです。
対して業務災害時に補償が受けられたり、働けなくなった際の給付が受けられたりする点はメリットといえるでしょう。
メリットの多くは、自分自身や家族を守るために活用できるものばかりです。
未加入時のリスクも大きいため、できるだけ加入することをおすすめします。
一人親方団体労災センターでは建設業界で働く方に向けて、特別加入の申し込み・お問い合わせを受け付けています。
加入を検討している方や疑問を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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