「労働災害の対策方法は?」
「実際にどのような対策事例がある?」
上記のような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
労働災害の対策をせずに業務を進めると、ケガや病気だけでなく死亡のリスクが伴います。
また、労働災害には大きく3つの原因があり、いずれかを対策するだけでは不十分と考えられるでしょう。
この記事では、労働災害の対策例とあわせて、主な原因や事例をまとめました。
関連する法律もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
労働災害を対策する前に知っておくべき3つの原因
労働災害を対策するなら、まずは何が原因で発生するかを知っておきましょう。
主な原因としてあげられるのは、以下の3つです。
- 危険性のある行動
- 安全が確保されていない状態
- 精神面の不調
それぞれの内容について、詳しくみていきましょう。
危険性のある行動
労働災害の原因として、危険性のある行動があげられます。
不安全行動とも呼ばれ、労働者や関係者に危険がともなうと把握しながら、意図的に引き起こされる行動のことです。
具体的には注意不足や、判断を誤った場合に発生します。
たとえば、作業手順を無視したり、使用する工具・機械の安全装置を外したりなどがあげられるでしょう。
少しだけなら大丈夫と判断すると、重大な事故を引き起こす可能性は十分に考えられます。
安全が確保されていない状態
安全が確保されていない状態は、労働災害を引き起こす原因の一つです。
不安全状態とも呼ばれ、使用設備や器具の安全状態を確認していない・作業環境の安全が確保されていない状態のことをいいます。
使用する器具が故障している場合、動作不良から重大な事故につながるケースもあるでしょう。
また、十分な作業スペースが確保されていない場合も、不安全状態に含まれます。
労働者が安全な環境で作業できなければ、事故リスクの上昇につながることを理解しておきましょう。
精神面の不調
精神面の不調は、労働災害の原因として注目されています。
長時間労働やハラスメント問題など、主に職場環境の悪化が関係しているといえるでしょう。
職場環境の悪化は、労働者のストレスや不満の増加に直結します。
精神面の不調が募ると体調の悪化にもつながり、結果として労働災害の原因にもなりかねません。
従業員にとって働きにくい環境が続くと、労働災害を引き起こしやすくなる点を理解しておきましょう。
労働災害防止につながる5つの対策例
労働災害を防止するためには、実際にどのような対策が取られているかを知ることも必要です。
今回は具体的な対策例として、以下の5つを見ていきましょう。
- 危険防止策の実施
- 健康管理の徹底
- 安全衛生管理体制を整備
- 安全衛生教育の実施
- 安全衛生活動の周知
それぞれの内容について、詳しく解説します。
危険防止策の実施
危険防止策の実施は、職場で使用する機材の状態や環境の確認などが該当します。
特に火災や爆発など、危険性のともなう物品を使用する場合は、あらかじめ事故につながらないための措置が必要です。
危険防止策の実施は、不安全行動の対策にもつながります。
事故につながる要因を把握し、正しい対策をとっておくことは効果的な労働災害の対策例といえるでしょう。
健康管理の徹底
労働災害を対策する方法として、健康管理の徹底があげられます。
従業員が心身ともに健康な状態で働ける環境を整えれば、労働災害の防止につながるでしょう。
例として、休憩時間をしっかり確保する・有給休暇の取得を推奨するなどがあげられます。
上記は労働基準法でも定められている項目ですが、実施できていない企業は少なくありません。
また、従業員には年1回の健康診断を実施することが義務付けられています。
もし有害な業務を任せる場合は、6ヶ月に1回の特殊健康診断を実施する必要性も理解しておきましょう。
安全衛生管理体制を整備
安全衛生管理体制を整備するのも、労働災害の対策方法です。
安全衛生管理は法令遵守や健康管理・緊急時の対応などがあげられます。
企業が管理体制を整えておけば、従業員の不安を解消できるでしょう。
安全衛生管理体制の整備は、従業員を守るために欠かせません。
加えて労働災害を防止すれば、企業の評判が低下するリスクを軽減し、社会的にも認められる・生産性の向上などのメリットを得られるのもポイントです。
安全衛生教育の実施
安全衛生教育を実施すれば、労働災害の対策につながります。
安全衛生教育は労働災害防止のために実施が義務付けられている教育のことです。
雇い入れ時・作業内容変更時は以下の8項目が義務付けられています。
- 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること
- 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること
- 作業手順に関すること
- 作業開始時の点検に関すること
- 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
- 整理、整頓及び清潔の保持に関すること
- 事故時等における応急措置及び退避に関すること
- 前各号に掲げるものの他、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
また、職長や監督者などに対しては以下5つの教育が必要です。
- 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること
- 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること
- リスクアセスメントの実施に関すること
- 異常時等における措置に関すること
- その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること
上記の教育は必ず行い、労働災害の防止につなげましょう。
安全衛生活動の周知
安全衛生活動を周知すれば、労働災害の対策に期待できます。
安全衛生活動の例としてあげられるのは、以下の3つです。
- ヒヤリハット活動
- 危険予知訓練
- リスクアセスメント
上記はいずれも、自主的な活動を促すものとなっています。
そのため、従業員一人ひとりに労働災害の危険性および安全な行動を意識させるのに役立つでしょう。
労働災害対策の事例5選
労働災害対策を実践するなら、実際にどのような事例があるかも知っておきましょう。
ここでは具体的な事例として、以下の5つを紹介します。
- 工具使用時の状態確認
- 防塵マスクの使用
- 足場の適切な使用
- 4Sの実施
- 熱中症対策の実施
それぞれの詳細について、詳しくみていきましょう。
工具使用時の状態確認
労働災害対策の事例として、工具使用時の状態確認があげられます。
主に電動工具使用時に該当する項目で、以下を確認することで労働災害対策が可能です。
- 本体にヒビや傷が入っていないか
- 保護カバーの取り付け状態は問題ないか
- 安定した場所で使用しているか
- 正しい姿勢で使用しているか
- 軍手を装着していないか
使用する工具の確認はもちろんですが、作業環境が安全かもしっかりチェックしましょう。
工具と環境の安全性が確認できれば、労働災害につながるリスクを軽減できます。
防塵マスクの使用
作業環境によっては、防塵マスクの使用も労働災害の対策につながります。
特に石綿(アスベスト)を使用する現場の場合は、防塵マスクの使用が必須といえるでしょう。
防塵マスクを使用せずに作業すると、肺がんや悪性中皮腫などの病気を発症する可能性があります。
防塵マスクのほか、保護衣を着用して作業に取り組むのも、効果的な対策方法の一つです。
足場の適切な使用
足場に関する労働災害を防ぐために、適切な使い方ができているかの確認も徹底しましょう。
適切な使い方ができていないと、墜落や転落などの労働災害につながります。
脚立やはしごを利用する場合は、金具やロックがしっかりできているかを確認しましょう。
移動はしごを利用する場合は、足場を支える人がいるかも重要なポイントです。
また、組み立てた足場で作業する場合は固定状況の確認も忘れてはいけません。
もし一時的に足場を外す必要があるなら、必ず責任者の了承を得るようにし、作業終了と同時に足場を取り付けましょう。
後回しにすると、重大な事故につながってしまう可能性が高まります。
4Sの実施
4Sを実施することで、労働災害のリスク軽減につながります。
4Sは整理・整頓・清掃・清潔を表す言葉で、安全性を高めるだけでなく健康的な職場づくりにも効果的です。
整理整頓ができていない現場の場合、積み荷の崩壊や動線の圧迫につながります。
結果として大きな事故につながってしまうリスクがともなうでしょう。
安全面と衛生面を守るためには、4Sの実施が欠かせません。
現場規模の大小にかかわらず、できるだけ綺麗で整った作業環境を目指しましょう。
熱中症対策の実施
熱中症対策の実施も、労働災害の対策事例です。
主な対策例として、以下の内容があげられます。
● 仮囲いしたスペースにスポットクーラーの設置
● 塩分補給の飴やタブレットの設置
● 脱水状態を把握する方法の周知
特に夏場や密閉された空間・多数の機械が稼働している場所の温度は高くなりやすいです。
熱中症は命にもかかわることもあるため、適切な対策が必要といえるでしょう。
労働災害に関係する3つの法律
労働災害を防ぐには、関係する法律を知っておく必要があります。
主に関係する法律は以下の3つで、それぞれの役割は以下のとおりです。
- 労働基準法:労働者の権利(休日や労働時間など)を保護する法律
- 労働安全衛生法:従業員と事業者の間に起こりうるトラブル防止を目的とする法律
- 労働契約法:職場の安全と労働者の健康を保護するための法律
上記の法律に違反していると、安全な職場環境とはいえません。
現場選びの際は参考にし、トラブルの防止につなげましょう。
まとめ
労働災害を防ぐには、適切な対策が必要です。
対策方法はもちろん主な原因を知っておけば、より安全な職場環境を整えられるでしょう。
ただし、いくら労働災害対策を実施している現場でも、事故が発生する可能性は0ではありません。
そのため、万が一の際に補償が受けられるよう、労災保険への加入が推奨されます。
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