「再下請通知書とは?」
「一人親方も再下請通知書の作成が必要?」
上記のような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
再下請通知書は安全書類の一つであり、工事前に作成・提出が必要です。
元請業者が工事内容を適切に把握する役目があり、提出していない場合は偽装一人親方として扱われる恐れがあります。
この記事では、再下請通知書の概要や一人親方の書き方、よくある質問をまとめました。
Contents
再下請負通知書とは?
再下請通知書は、工事を実施する前に提出が必要な安全書類(グリーンファイル)の一つです。
元請企業や施工業者と下請契約を結んだ場合は、何次請けかに関わらず、提出の必要があります。
再下請通知書にはさまざまな情報が記載されており、元請企業が下請業者を把握するために活用されるものです。
例えばどの会社が作業を行っているのか・担当者は誰なのかなどの内容があげられるでしょう。
このことから、適切かつ安全な工事を実施するためにも、再下請通知書は欠かせません。
一人親方でも再下請通知書は必要になる?
結論、一人親方であっても、再下請通知書の提出は必要です。
そもそも一人親方は、下請企業からさらに下請で仕事をしているのが前提とされています。
万が一請負契約が結ばれていない場合は「偽装一人親方」とみなされる可能性があるため、注意しましょう。
個人事業主であるにもかかわらず、通常の社員と変わらない働き方を強いられてしまうかもしれません。
国土交通省が公表する「社会保険の加入に関する下請ガイドライン」 においても、偽装一人親方の防止対策には厳しく言及されています。
提出については請負契約後になりますが、着工前に必ず提出する必要があるため、事前に用意しておくとよいでしょう。
一人親方の再下請通知書の書き方
一人親方が再下請通知書を記入する際は、以下5つの項目が必要になります。
- 会社・工事に関する情報
- 建設業許可に関する情報
- 健康保険等に関する情報
- 担当者の情報
- 外国人作業員の情報
それぞれの記入内容について、詳しく見ていきましょう。
会社・工事に関する情報
一人親方が再下請通知書を記入する際は、会社や工事に関する情報を埋める必要があります。
具体的に埋めなければならない項目および内容は、以下の通りです。
- 会社名:氏名や屋号を記入
- 住所・電話番号:届けを出している住所や電話番号を記入
- 工事名称および工事内容:従事する工事名称作業内容を記入
- 工期:自分が作業に従事する工期を記入
- 注文者との契約日:下請契約の締結日を記入
上記を参考に、できるだけわかりやすく再下請通知書の内容を埋めていきましょう。
建設業許可に関する情報
建設業許可に関する情報は、建設業許可を得ている場合のみ記入が必要な項目です。
建設業許可を得ている場合は、以下3つの項目を記入しましょう。
- 施工に必要な許可業種
- 許可番号
- 許可(更新)年月日
なお、500万円未満の工事かつ建設業許可を得ていない場合は、記入する必要はありません。
健康保険等に関する情報
健康保険等に関する情報は、基本的に法人向けの記入項目となります。
そのため、一人親方は「適用除外」を選べば問題ありません。
国民健康保険や国民年金については、記載を求められないため、注意しましょう。
ただし、以下のケースに該当する場合は、加入していることを示す必要があります。
- 健康保険組合に加入している場合
- 前勤務先の健康保険を任意継続している場合
- 副業として一人親方を営んでおり、勤務先で社会保険に加入している場合
また「事業所整理記号等」についてですが、すべて適用除外となる場合は、記入しなくて問題ありません。
逆に何かの保険に加入している場合は「営業所の名称」の部分に、自身の名前を記載しましょう。
担当者の情報
一人親方が再下請通知書を作成する場合、以下3つの項目に自身の氏名を記入する必要があります。
- 現場代理人名
- 主任技術者名
- 安全衛生責任者名
上記以外の担当者欄については、空欄で提出して問題ありません。
ただし、建設業許可を得ている場合のみ、金額にかかわらず「主任技術者」の部分に氏名を記載してください。
「権限及び意見申出方法」の項目は、契約書に準拠する旨を記入しておけば問題ないでしょう。
万が一指摘を受けた際は、口頭・文書によるといった内容を記載しておいてください。
外国人作業員の情報
外国人作業員の情報は、必要がある場合のみ、対象者の氏名を記載しましょう。
一人親方の場合、多くのケースで記入しなくて問題ありません。
もし特定技能1号を持つ外国人を雇用している場合は「一号特定技能外国人の従事の状況」を「有」で提出しましょう。
技能実習を終えた外国人を雇用している場合は「外国人建設就労者の従事の状況」を有で提出する必要があります。
再下請通知書のほかに一人親方が添付しなければならない書類
再下請通知書のほか、一人親方が添付・提出しなければならない書類にはいくつかのものがあります。
ここでは必ず提出しなければならない書類と、状況によって提出しなければならない書類を、下記の表にまとめました。
提出が必須の安全書類 | 案件・状況に応じて提出が必要な書類 |
|
|
上記のうち、提出が必須の安全書類は出し忘れないように注意しましょう。
契約書については、口頭での約束のみでは保障されない、補修金額や支払期限などを示すために必要な書類です。
トラブルの火種になりかねませんので、請負契約書や基本契約書・注文書などを作成しましょう。
作業員名簿は、下請ごとの作成が法律によって義務付けられています。
一人親方の場合は自分の情報のみを記載すれば問題ありませんが、作業員を別で雇う場合は、対象者の情報も必要です。
社会保険の加入状況・保有資格・直近の健康診断日などを記入しましょう。
緊急連絡先については、事故やケガなどに見舞われた際にすぐ連絡が取れる電話番号の記載が必要です。
その他、案件・状況に応じて提出が必要な書類は、契約を締結する際に何が必要かを確認しておきましょう。
場合によっては用意するのに時間がかかる書類もあるため、事前に確認し、準備しておくことが大切です。
一人親方の再下請通知書に関するよくある質問
最後に、一人親方の再下請通知書に関するよくある質問を5つご紹介します。
- 再下請通知書はどこでダウンロードできる?
- 再下請通知書の記入例はある?
- 再下請通知書が不要な場合は?
- 再下請通知書に印鑑は必要?
- 施工体制台帳と再下請負通知書の違いは?
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
再下請通知書はどこでダウンロードできる?
まず、再下請通知書は様式に関する定めがありません。
そのため、各企業によって使用している書類が異なる場合があります。
下請契約を結ぶ際は、元請企業をはじめとして、様式の指定があるかを確認しましょう。
指定がある場合は、念のため必要な項目がすべて記載できる様式かを必ず確認してください。
なお、作成例については、国土交通省のホームページからダウンロードができます。
もし自身で用意しなければならない場合は、ダウンロードしたものを使用しても問題ありません。
再下請通知書の記入例はある?
再下請通知書の記入例は、国土交通省のホームページ に用意されています。
どこに何を記入すればよいかが詳細に記載されているため、書き方に困ったら活用しましょう。
仮に様式が違う場合も、記載項目の表記はほとんど変わりません。
そのため、記入例を参考にしながら、必要項目を転記するのが分かりやすいでしょう。
再下請通知書が不要な場合は?
再下請通知書の作成および提出が必要になる条件は、下請契約をしているかどうかです。
そのため、下請契約をしていない場合は、そもそも提出しなくて問題ありません。
ただし、何次請けの下請かにかかわらず、契約を結んでいる場合は必ず提出を求められます。
例えば一次下請会社から一人親方へ仕事の依頼があった場合も、書類作成の義務がともなう点に注意しましょう。
再下請通知書に印鑑は必要?
一人親方が再下請通知書を作成する場合、基本的に印鑑は必要ありません。
求められるのは会社印であり、個人事業主として仕事を請け負う場合は、空欄でも問題ないとされています。
なお、再下請通知書は、自治体によって押印がなくても問題ないケースもあるようです。
そのため、押印の要否は事前に確認しておくのがよいでしょう。
施工体制台帳と再下請負通知書の違いは?
施工体制台帳と再下請負通知書は、作成する業者に違いがあります。
施工体制台帳は元請企業が作成するものであり、下請や孫請など、工事に関わる全ての業者や施工範囲を記載する台帳です。
対して再下請通知書は、どのような業務をどの会社が担当しているかを元請企業が確認するための書類となります。
一人親方の場合は、基本的に再下請負通知書のみを作成することになるでしょう。
まとめ
再下請通知書は、工事を実施する前に提出しなければならない安全書類(グリーンファイル)の一つです。
一人親方の場合も提出義務があり、元請企業が工事の全容を把握するための書類として用いられます。
記入する項目はそれなりにありますが、国土交通省のホームページの記入例を見ながら対応すれば問題ありません。
中には、空欄で問題ない項目も数多くあります。
なお、再下請通知書のほかには、作業員名簿や契約書が安全書類として必要です。
その他、案件や状況によって提出が求められる書類もあるため、何が必要なのかは、契約する企業に確認しておきましょう。