「新規入場者調査票とは?」
「どのような目的で提出が求められる?」
上記のような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
新規入場者調査票は、現場で働く作業員に万が一のことが起きた際に活用される安全書類です。
元請企業が作業員の情報を確認するのはもちろん、安全衛生管理のためにも活用されます。
この記事では新規入場者調査票の概要や必要になる理由や、一人親方の提出義務などをまとめました。
記入例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
新規入場者調査票(参考様式第4号)とは?
新規入場者調査票(参考様式第4号)とは、作業者に万が一のことが発生した際の緊急連絡先や勤務先などの情報が記載されている書類です。
活用例は事故や急病などが発生したときで、安全衛生管理のためにも重要な役割を持ちます。
なお、新規入場者調査票を提出する場合に限り、新規入場時等教育実施報告書の提出は必要ありません。
この部分は、新規入場者調査票を提出するメリットの一つといえるでしょう。
新規入場者調査票が必要になる理由
新規入場者調査票が必要になる理由として、以下の2つがあげられます。
- 元請が作業員の情報を把握するため
- 事故発生時の手続きを滞りなく進められる
上記の内容について、詳しく見ていきましょう。
元請が作業員の情報を把握するため
新規入場者調査票は、元請が作業員の情報を把握するために必要なものです。
例えば氏名や入場日など、新規入場者調査票にはさまざまな情報が記載されています。
また、建設現場では「新規入場者教育」がルールとして設けられています。
現場へ入る作業員については、新規入場者教育のルールに沿って、作業や必要な情報などを教育しなければなりません。
現場のルールや慣習などを理解していない作業員は、労働災害の被害を受けやすいとも考えられています。
特に建設現場は危険がともなう環境であるため、コミュニケーションを活性化させるのも、新規入場者調査票を提出する理由の1つです。
事故発生時の手続きを滞りなく進めるため
仮に事故が発生した場合も、新規入場者調査票があれば、手続きを滞りなく進められます。
労働災害によって作業員が亡くなってしまったり休業したりする場合、労働者死傷病報告をはじめとした書類の提出が必要です。
労働基準監督署長に提出する際、新規入場者調査票があれば、記載が求められる項目の内容を一部把握できます。
もし新規入場者調査票がなければ、万が一の際に必要な情報を埋められません。
本人に情報が確認できない状態になってしまった場合、すぐに対処できるようにしておくのも、新規入場者調査票が必要になる理由といえるでしょう。
新規入場者調査票は一人親方にも提出の義務がある?
結論からいうと、一人親方の場合であっても、新規入場者調査票は提出の義務があります。
初めての現場に入るときに提出が求められ、経験年数や健康状態などを記入しておかなければなりません。
一人親方として現場に入る場合、初対面の人と作業する場面にも多く遭遇すると考えられます。
このときに新規入場者調査票があれば、元請は作業員の情報をしっかりと把握できます。
事故や労働災害などのリスクをできる限り少なくするために、一人親方にも新規入場者調査票の提出義務があると理解しておきましょう。
新規入場者調査票を提出するタイミングはいつ?
新規入場者調査票の提出が求められるタイミングは、新しく現場に入るときと考えておけば問題ないでしょう。
基本的には現場事務所で記入し、不備確認後に受け取るのが一般的と考えられています。
ただし、作業現場によって、若干提出のタイミングが異なることがあるかもしれません。
そのため、どのタイミングで必要になるのかは、元請企業に確認しておくとよいでしょう。
新規入場者調査票の書き方は?記入例を紹介
新規入場者調査票を提出する際、どのように書けばよいかわからない人もいるでしょう。
ここからはどのような項目があるのかとあわせて、記入する内容の例をご紹介します。
- 作業現場の名称
- 新規入場日
- 元請確認欄
- 作業員の情報
- 緊急連絡先
- 会社との関係
- 新規入場者アンケート
- 保有資格
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
作業現場の名称
作業現場の名称は、そのまま現場名を記入しておけば問題ありません。
作業所の名前や実際に入場するビルの名前などを記入しておきましょう。
また、どのような工事で入場するかを具体的に記入する必要もあります。
例えばビルの改装工事や住宅の新築工事など、実際の作業内容に沿って名称を記入しましょう。
新規入場日
新規入場日は、実際に現場入りした日時を記入しておけば問題ありません。
元請と作業者の間で、認識が誤らないように注意してください。
なお、よくある間違いとして、施工開始日を記入するケースがあります。
あくまでもいつ入場したかの記入が必要になるため、混同しないように気をつけましょう。
元請確認欄
元請確認欄は、元請会社が記入した内容を確認した後にサインをする箇所です。
そのため、一人親方や作業員が記入する必要はありません。
作業員の情報
作業員の情報は、現場入りする作業員の基礎情報を記入する箇所です。
具体的には、以下の内容が必要となります。
- 氏名
- 生年月日
- 血液型
- 住所
- 電話番号
なお、注意したいのは、正確な表記で記載が求められる点です。
漢字表記が誤っていたり、公的な書類と乖離(かいり)があったりすると、照合が上手くいかない恐れがあります。
そのため、必ず写しを用いながら確認し、表記に誤りがないかをチェックしましょう。
また、18歳未満の作業員が入場する際には、年齢を証明できる書類の提示も必要です。
働き方についても、時間や業務に制限が設けられる点は理解しておきましょう。
緊急連絡先
緊急連絡先には、万が一のことが起きた際に連絡が取れる相手の情報を記入しておきます。
具体的には、以下の内容を記載しておけば問題ありません。
- 緊急連絡先に使用する電話番号
- 緊急連絡時に対応する人の氏名
- 緊急時に対応する人の住所
- 作業員との関係・続柄
緊急連絡先には、配偶者や両親などを選定しておくのが一般的です。
会社との関係
会社との関係には、以下の内容を記載する必要があります。
- 事業者の名称
- 雇用年月日
- 所属会社の名称
- 雇用契約書取り交わしの有無
- 職種
会社名の部分に注意すれば、特に難しい内容の記載は求められません。
新規入場者アンケート
新規入場者アンケートでは、安全かつ法律を順守できるかをチェックします。
事業者によってアンケート内容は異なり、具体例は以下のとおりです。
- 一人親方かどうか
- 一人親方の場合労災に加入しているか
- 作業経験年数
- 健康診断を受診しているか
- 健康状態に問題はないか
- 建設業退職金共済手帳を所持しているか
場合によっては書類が必要になることもあるため、元請会社に確認しておくとよいでしょう。
保有資格
もし保有している資格があるなら、新規入場者調査票に記入が必要です。
資格の種類は大きく以下の3つに分類され、所有している人も多い傾向にあります。
- 技能講習(作業主任者・作業者)
- 技能講習(運転士)
- 特別教育(運転者・作業者)
それぞれどのような資格が含まれるのか、詳しく見ていきましょう。
技能講習(作業主任者・作業者)
技能講習(作業主任者・作業者)には、以下のような資格が含まれます。
- ガス溶接
- 玉掛け
- コンクリート破砕器
- 地山の掘削
- 石綿
- 有機溶剤
- 足場の組立て
- ボイラー取扱
- コンクリート造の工作物の解体
- 酸素欠乏危険
主には、法律で定められている責任の所在に関連する資格が多いと考えられるでしょう。
技能講習(運転士)
技能講習(運転士)に含まれる資格は、以下のとおりです。
- 1トン以上5トン未満の移動式クレーン
- 3トン以上の車両系建設機械・解体用機械
- 10m以上の高所作業車
- 1トン以上のフォークリフト・ショベルローダー・不整地運搬車
クレーンやフォークリフトなど、特殊車両を運転・操作する資格と考えれば問題ありません。
特別教育(運転者・作業者)
特別教育(運転者・作業者)には、以下の資格が例として含まれています。
- 酸素欠乏危険作業
- ボーリングマシン
- 巻上げ機または建設用リフト
- ゴンドラ
- アーク溶接
- 研削砥石の取替え
- 電気扱い
このほかにもさまざまな特別教育があるため、受けているものはすべて記載しておくとよいでしょう。
新規入場者が現場に入る際に注意すべきポイント
新規入場者調査票などの安全書類を提出すると、いよいよ現場に入ることが可能です。
しかし、建設現場にはさまざまな危険がともなうポイントがあります。
例えば足場上で作業をする場合、墜落災害につながらないように注意しなければなりません。
足場上を整理整頓したり、作業場や手すりに異常がある場合は、すぐに報告・修理したりなどがあげられるでしょう。
また、不安全行動についても防止することで、慣れていないうちの事故や労働災害を防げます。
現場の慣習を理解して状況を把握する・定められた通路を使用するなどして、自ら危険の種を増やさないように注意しましょう。
まとめ
新規入場者調査票は、事故や労働災害が発生した際の緊急連絡先や勤務先などの情報が記載されている書類です。
安全衛生管理の面でも大きな意味を持ち、緊急時の対応をスムーズに行うためにも必要となります。
一人親方の場合も提出が求められるため、どのような項目を記載しなければならないのかは、あらかじめ確認しておきましょう。
なお、新規入場者調査票は、現場へ入場するタイミングでの提出が一般的です。
ただし、現場によって若干異なることもあるため、事前に確認しておきましょう。