「一人親方労災保険は、必要な時だけ短期で加入できるの?」
「一人親方労災保険を短期で契約したら、保険料は安くなる?」
一人親方労災保険に加入する際に、短期契約を考える方もいるかもしれません。また、新型コロナウィルスの感染が拡大する中で建設業界で働く一人親方も厳しい状況が続くため短期加入したという方は多くなってきました。実際、一人親方労災保険は途中での解約が認められており、なかには解約を前提とした短期でのプランを設ける一人親方団体もあります。
この記事では、一人親方労災保険における短期での契約方法をご紹介したうえで、注意点についても深堀りしていきます。
なお、労災保険の特別加入制度については「一人親方労災保険の特別加入とは|入り方や補償の範囲を解説」で詳しく解説しておりますので、そちらもご覧になってください。
Contents
一人親方労災保険に短期での加入はできるのか
一人親方労災保険は法律で解約が認められており、短期加入も可能です。加盟する団体によっては、短期プランが設けられています。一人親方労災保険は、さまざまなリスクに備えるためのものであり、基本的には長期で加入することが推奨されます。しかし、以下の理由などにより、短期での加入を希望される方もいるでしょう。
- 請負元から、労災保険に加入するよう言われた(→その請負元の案件を担当する間だけ、加入したい)
- 法人化して人を雇う計画がある(=一人親方を辞める)
- 普段は建設業で働いていないが、たまにスポットやアルバイトで現場に入る
- 月々の保険料の負担が重い
一人親方労災保険の原則は1年契約ですが、途中での解約も認められているため、上記に該当する方でも安心して加入できます。
一人親方労災保険に短期で加入する方法
一人親方労災保険に短期で加入するには、どのような手続きをすればよいのでしょうか?具体的な手順は加盟する団体によって異なりますが、大きく3つのパターンが考えられます。一つひとつ、チェックしていきましょう。
月ごとに保険料を支払う
毎月保険料を支払う一人親方労災保険に加入する方は、希望するタイミングで解約できます。手続きも、とてもシンプルです。
年単位での契約
保険料を前もって一括払いする、一人親方団体もあります。この場合、解約の手続きが完了すると支払い済保険料との差額(未経過分労災保険料)が後日返金され、結果的に短期契約となります。一人親方労災保険は年単位での契約がベースとなっており、最もオーソドックスなパターンです。当団体「一人親方団体労災センター」も、この基本的なパターンでの契約形態をとっています。
短期のプランが設けられている
一人親方労災保険の団体によっては、短期のプランをあらかじめ設定しているものもあります。こうしたものでは、「2か月プラン」や「短期プラン」など短期加入を前提とする契約内容になっており、期間が経過すると自動的に契約が終了する内容になっています。
「一人親方団体労災センター」でも、一人親方のさまざまなニーズに合わせて、年度加入だけでなく「1か月」または「2か月」のみの短期加入ができるようになりました。
一人親方労災保険に短期加入するメリット
一人親方労災保険の短期加入には、以下のようなメリットがあります。
- 保険料をムダにすることなく効率よく加入できる
- 年間の費用負担が厳しい場合の一時的な解決策になる
- 短期加入でも手厚い補償が受けられる
特定のケースでは、これらのメリットが非常に助かると感じる一人親方や個人事業主も少なくありません。それぞれのメリットをさらに詳しく解説します。
保険料をムダにすることなく効率よく加入できる
一人親方労災保険は、原則として国が定めた加入期間(4月1日から翌年3月31日まで)がありますが、短期プランのメリットは、保険料をムダにすることなく効率よく加入できることです。
例えば、年度途中で法人化する計画のある一人親方や、転職・廃業を検討している場合、支払い済みの保険料がムダになってしまうケースがあります。事前に予定が決まっていれば、短期加入により保険料をムダにすることなく効率よく加入できます。
また、普段は建設業で働いていない方も、たまにスポットやアルバイトで建設現場に入る機会があるかもしれません。このような場合でも、必要な時に必要な期間だけ一人親方労災保険に加入できれば、費用面で大きなメリットになります。
年間の費用負担が厳しい場合の一時的な解決策になる
「一人親方労災保険に加入したいけれど、年間の費用が負担になる」場合も、短期加入ができれば目先の出費を抑えられます。特に、一人親方として独立したばかりの時期は、車両や工具などを揃える必要が生じ、思った以上に初期費用がかかる場合もあります。
そこで、最初の数か月は一人親方労災保険に短期加入し、資金に余裕が出てから通常加入することも検討できるでしょう。
短期加入でも手厚い補償が受けられる
労災保険は国の保険制度で、たとえ短期の加入であっても、業務中に発生するリスクに関して手厚い補償が受けられるメリットがあります。
「短期だからわざわざ労災保険に加入しなくても大丈夫」と考える方もいるようですが、万一の事故で補償が受けられないと、ご自身やご家族がたいへんな思いをしてしまいます。
たとえ短期間の業務でも、一人親方労災保険に加入しておくなら、以下のような補償が受けられ安心です。
- 療養補償
業務中や移動中に発生した事故によるケガや病気に対して、病院で受ける治療費の自己負担額が0円になります。
- 休業補償
業務上のケガや病気で仕事ができなくなった場合、給付基礎日額に応じた休業補償が受けられます。
- 介護補償
業務上のケガや病気で介護が必要になった場合、障害の状態に応じて保険給付が受けられます。
- 死亡一時金/遺族年金
万が一死亡してしまった場合、遺族に対して補償が行われます。
一人親方労災保険に短期加入する際の注意点
一人親方労災保険の短期加入は、加入者のニーズに合わせて効率よく活用できるメリットの多い制度です。しかし、注意点もあるため、事前によく理解した上で加入を検討しましょう。
まず、短期加入の場合は、加入期間の延長や自動更新がされず、契約した期間で脱退となります。スポットやアルバイトで現場に入っている方は、工期が延びるケースもあるため、未加入期間が発生するリスクがあります。
未加入期間に万一の事故が発生しても、労災保険の補償は受けられなくなるため、注意が必要です。
また、「元請会社が加入を義務付けているから」「この現場では必要だから」などといった理由で、現場に応じて短期加入を繰り返す方もいるようです。
しかし、いかなる現場でも一人親方として業務に携わる以上、ケガや病気のリスクが発生します。
一人親方労災保険は一人親方や個人事業主など、危険と隣り合わせで働いている方の万一を補償する特別加入制度です。ですから、特別な事情がある場合を除き、年間を通して不測の事態に備えることをおすすめします。
「一人親方団体労災センター」の短期加入とは?
「一人親方団体労災センター」では、一人親方や個人事業主の必要に応じて、年度加入ではなく「1か月」または「2か月」の短期加入でのお申し込みが可能です。
短期加入で必要な費用は、以下の通りです。
入会金:1,000円
組合費:2,000円
労災保険料:給付基礎日額に応じた額(加入月数による)
「一人親方団体労災センター」の公式サイトより、短期加入でのお支払い金額が簡単にシミュレーションできます。
「加入希望月」「給付基礎日額」「加入月数」を入力するだけですので、ぜひお気軽にご利用ください。
まとめ
一人親方労災保険は、年度の途中で解約するか短期でのプランを契約することで、短期加入できます。短期で契約できることは、年度の途中で法人化を検討していたり、廃業・転職の可能性があったりする方にとって、大きなメリットがあります。支払い済の保険料がムダにならないためです。ただし、「費用を安く抑えたい」目的で短期契約を検討している方は、注意が必要です。
確かに、請負元から仕事を受注する際には労災保険に加入するよう推奨されることがあり、その期間だけ保険に加入すれば、保険料の支払額を安く抑えられるかもしれません。しかし、一人親方として仕事をしている以上、常に業務上でのケガや病気のリスクは存在します。そもそも一人親方労災保険は、業務上ケガのリスクが高い一人親方に対し、特別に認められた制度です。
安全に仕事ができ、いざというときにも困らないよう、年間での契約と短期加入を上手に使い分けましょう。
なお、労災保険料は国の保険のためどの団体で加入しても一律です。労災保険料率は3年に一度見直しがあり、本来令和3年度が見直しの年ですが新型コロナウィルスの拡大の影響により見送られました。
令和3年度の労災保険料は下記リンクをご確認ください。