労災保険はもともと、会社員など組織に所属する人のための保険制度です。しかし、一人親方は特別加入が認められているため、一人親方労災保険に加入できます。
一人親方労災保険は業務を安全に遂行するうえでも、ご自身の生活の安定を得るためにもとてもメリットの大きな保険制度です。
この記事では、一人親方労災保険における特別加入制度の概要に触れたうえで、保険料や補償の範囲について詳しく解説します。
「一人親方労災保険」は、「特別」にふさわしいほど手厚い補償が受けられるサービスであり、一人親方であれば必ず入っておきたい保険ですので、ぜひこの記事を参考にしてください。
Contents
一人親方労災保険の特別加入制度とは
一人親方は、法律によって労災保険への特別加入が認められています。どのような点が「特別」なのか知るために、まずは労災保険の基本的なルールや、一人親方労災保険における特別加入制度の概要を見ていきましょう。
本来の労災保険
労災保険は、労働者が業務中・通勤中にケガ・病気・死亡をしてしまったときに、保険給付が受けられる保険制度です。補償の主な内容は、以下の通りです。
療養補償 | 治療費の自己負担に対する補償(労災病院や労災指定病院などで、自己負担0円で治療が受けられます) |
介護補償 | 介護を受けているときの介護費用に対する補償(自己負担0円で、介護サービスを受けられます) |
障害給付 | 業務上・通勤中のケガや病気により、傷病が治ったあとも障害が残ってしまったときに補償金を給付 |
傷病補償 | 業務中・通勤中のケガや病気の発生から1年6か月以上が経過し、傷病が治っていないときに補償金を給付 |
休業補償 | 業務中に発生した病気やケガが原因で、仕事ができない時の収入を補填する補償 (休業4日目以降、給付基礎日額の60%補償+20%の特別補償が受けられます) |
葬祭料 | 労働者が死亡したときに、葬儀代の一部を補償 |
遺族補償 | 労働者が死亡したときに、遺族などに対して支払われる補償 |
国が定める保険制度であることから、補償がとても厚い特徴があります。ただし、労災保険本来のルールとして労働者は、企業などに雇用される人のことを指しています。したがって、個人事業主である一人親方は労災保険に加入できません。
特別加入が認められている一人親方
一人親方は、業務上ケガや病気のリスクが考えらえるため、本来は加入できない労災保険への加入が認められています。厚生労働省から認められている「一人親方」は、以下の7業種です。
- 個人タクシー業者や個人貨物運送業者など
- 大工・左官・とび職人などの建設事業者
- 漁業(水産動植物の採捕)
- 林業
- 医薬品の配置販売
- 再生利用の目的となる廃棄物などの収集・運搬・選別
- 船員がおこなう事業
一人親方といえば建設業を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、上記の業種に当てはまる方であれば、労災保険に加入することが認められています。しかし、一人親方労災保険は、民間の生命保険のように個人で直接加入できません。後の章で詳しくご紹介しますが、一人親方労災保険に加入するには、労基局承認の団体を通じて加入する必要があります。
なお、特別加入にあたって気を付けるべきことがあります。例えば建設事業者の場合、「土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊もしくは、解体またはその準備の事業」に直接従事する方が加入対象です。そのためクリーニング事業者のため、施工管理事業者などは現場に入場する方であっても対象外となる可能性があります。
また、貨物運送業者の場合は「自動車を使用して行う旅客または貨物の運送の事業者」が加入対象とされています。具体的には個人タクシー、赤帽、バイク便などが考えられます。最近街中でよく見かけるウーバーイーツの配達員は個人事業主ということですが、バイクで配達する方は特別加入可能ですが、自転車の場合は現行法では加入できません。
一人親方労災保険における特別加入の保険料
一人親方労災保険に加入する際の保険料について、解説します。保険料の項目は、次の3点です。
- 保険料
保険料は、給付基礎日額に比例し、費用が一律で決まっています。給付基礎日額とは、業務上のケガや病気により仕事が出来なくなったときに、休業補償として受け取れる補償の設定額のことです。葬祭料や死亡一時金などその他の給付額も、給付基礎日額に連動しています(療養補償と介護補償のみ給付基礎日額に関わらず、自己負担額0円になるよう補償)。
給付基礎日額は、3,500円~25,000円まで16段階あり、毎月の保険料も比例し変動します。
- 組合費
一人親方労災保険に加入するには、団体を通じ加入しなくてはなりません。そのため、組合費がかかります。
- 入会金(更新料)
一人親方労災保険の団体へ最初に加盟する際は、通常入会金がかかります。団体によっては、2年目・3年目の更新の際に、更新料がかかる場合もあります。
一人親方労災保険3つの費用項目のうち、「保険料」は法律で決められていますが、「組合費」と「入会金」は団体によって異なります。料金を安く抑えたい方は、「組合費」・「入会金」が安く、追加費用のかからない団体からの加入がオススメです。当団体「一人親方団体労災センター」の場合、入会金1,000円・毎月の組合費500円・追加料金なしで、一人親方労災保険に加入できます。
具体的な料金を知りたい方は、以下のページから「自動見積もり」で計算できます。いくつかのフォームに数値を入力するだけで簡単にシミュレーションできますので、ぜひお気軽にチェックしてください。
一人親方労災保険における特別加入の補償範囲
一人親方労災保険は、業種によって補償の範囲が決まっています。
個人タクシー業者や個人運搬事業者 |
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建設業 |
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漁船に関する自営業者 |
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林業 |
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医薬品の販売配置業者 |
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再生資源取扱業者 |
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船員法第1条に該当する業者 |
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上記に合致しない原因でケガや病気をした場合には、保険金を受け取ることができないので注意しましょう。
一人親方労災保険の加入方法
一人親方労災保険に加入するには、一定数の一人親方を集め、労働局へ申請しなくてはなりません。特別加入団体は全国に存在しており、団体を通じて申し込むことで、個人でも一人親方労災保険に加入できます。
この章では、一人親方労災保険の加入方法について、詳しく解説します。
特別加入団体の探し方
一人親方労災保険の特別加入団体は、全国に複数あります。しかし、団体によっては、対象地域が限定されていることがあります。登録前に、加入を希望する団体が、ご自身のお住まいのエリアを対象としているかどうかチェックしましょう。
また上述の通り、「保険料」は法律によって決まっているためどの団体から加入しても一律の料金ですが、「組合費」や「入会金」は団体ごとに異なります。料金だけでなく、申請してから加入手続き完了までの期間や個々の対応に関しても、業者によって異なることがあります。ご自身にとって最適の団体を選べるように、「早い」「安い」「安心」の団体に加入しましょう。
当団体「一人親方団体労災センター」は、組合費月額500円+入会金1,000円の費用のみで入会していただける団体です。
追加費用はいただいておりません。
一部管轄外の地域もありますが、ほぼ日本全国に対応しているので、一人親方労災保険への加入を希望されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
特別加入団体への申し込み
条件に合致した特別加入団体が見つかったら、申し込みの手続きをおこないます。労働局への申請は特別加入団体が代行してくれますので、一人親方は特別加入団体への加入手続きのみでOKです。
大半の団体は、インターネットやFAXで加入手続きを進めることができます。通常業務が忙しくなかなか時間がとれない方でも、自宅から申し込み手続きが完結できるため、手間・負担を心配する必要はありません。
まとめ
業務によるリスクに鑑み、一人親方は労災保険への特別加入が認められています。特別加入団体を通じ一人親方労災保険に加入すれば、入会金・組合費・保険料を支払うことで、業務を原因とするケガや病気の治療費・休業補償・死亡一時金などを保険金として受け取れます。
保険料を正確に知りたい方はシミュレーションフォームを利用していただければ、いくつかの項目を入力するだけで、お手軽に月々の保険料を確認できます。
一人親方団体労災センターは、組合費月額500円・入会金1,000円で加盟できる、労基局承認の一人親方特別加入団体です。全国展開していますので、一人親方労災保険にご興味のある方は、ぜひお気軽に問い合わせください。
なお、労災保険の特別加入制度は一人親方だけではありません。他にも下記にような特別加入制度があります。一人親方の労災保険の特別加入制度と非常に似通っておりますが、対象者が異なります。
また、まだ詳細なパンフレットは厚生労働省から発表されておりませんが、令和3年4月より以下の4種が特別加入の範囲に加わりました。共通していることはいずれも「労働者ではない=雇用関係にない」方が対象となります。
- 芸能関係作業従事者
- アニメーション制作作業従事者
- 柔道整復師
- 創業支援等措置に基づき事業を行う方