一人親方労災保険の「労災センター通信」

一人親方労災保険への加入手順を一から分かりやすく解説

 一人親方労災保険への加入の際には、スムーズに加入手続きを進めることがとても大切です。手続きに手間取って加入が遅れると、申請完了する前にケガをしてしまったり、現場で早く加入するように催促されて困ってしまったりするリスクがあるためです。

 この記事では一人親方労災保険への加入条件と、一人親方労災団体の選び方や加入手順をご紹介します。

 労働局承認の一人親方労災団体である「一人親方団体労災センター」が、わかりやすく解説いたしますので、一人親方労災保険の加入をご検討中の方はぜひご参考にしてください。

一人親方労災保険の加入条件

一人親方労災保険加入条件
 一人親方労災保険に加入するためには、いくつかの条件を満たさなくてはなりません。
この章では、一人親方労災保険に加入するために必要な条件を解説します。

雇用されずに仕事をしている

 一人親方は、個人事業主として一人で仕事する人のことを指します。従って、企業などと雇用契約を結ばず、個人事業主として活動する必要があります。また現実的には、「開業届」を未提出の状態で一人親方として活動している方も少なくありませんが、「開業届」を提出しないと個人事業主としての一人親方であると認められない場合があります。さらに、税制優遇や屋号での手続きなどがおこなえないデメリットもあるため、必ず「開業届」を提出しましょう。

労働者を雇用していない

 個人事業主として事業をおこなっていても、労働者を雇用していると「一人親方」としては認められません。ただし、年間の雇用日数が合計100日未満であれば、雇用しても問題ないことになっています。

対象職種に含まれている

 一人親方労災保険の対象職種は、以下の7職種に限られています。

  1. 個人タクシー業者・個人貨物運送業者など
  2. 建築事業者
  3. 漁業
  4. 林業
  5. 医薬品の配置販売
  6. 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別
  7. 船員

 上記以外の事業をおこなっていても、一人親方とは認められません。ご自身が一人親方に該当するのかどうかを詳しく知りたい方は、お近くの労働基準監督署窓口にて、詳細をお問い合わせください。

一人親方労災団体の選び方

 一人親方労災保険に加入する場合、労働基準局に個人で直接申し込めるわけではありません。申し込みは、必ず一人親方労災団体を通じておこなわなくてはなりません。そして、一人親方労災保険加入団体は多数あり、それぞれ条件が異なります。

 この章では、安心して加入できる一人親方労災団体の選び方を解説します。

対象地域をチェック

 インターネットなどで一人親方労災団体をチェックするとき、必ず押さえておきたいのが対象地域です。一人親方労災保険は地域ごとに労働局の管轄が異なっており、必ずご自身の事業所の所在地を対象としている労災保険に加入しなくてはなりません。対象地域は、一人親方労災団体のホームページなどで確認できます。

契約内容をチェック

 次に、一人親方労災団体の契約内容のチェックをしましょう。一人親方労災保険は国の制度であるため、どの団体を通じて契約しても、毎月の保険料には変動がありません。しかし、団体への加盟料・入会金・登録申請から保険適用までの期間など、諸々の条件は一人親方労災団体によって大きく異なります。一人親方労災保険の加入方法を詳しく知りたい方は、「一人親方労災保険のおすすめは?選び方のポイントを解説」にて、詳しく解説しています。失敗しないために、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。

一人親方労災保険の費用

 一人親方労災保険に加入して補償を受けるには、費用がかかります。

 この章では、加入時と月々の費用の概要を解説いたします。

加入時の費用

 一人親方労災保険に加入する際には、一人親方労災団体の入会金がかかります。入会金は一人親方労災団体によって異なり、無料~5,000円程度です。入会金は安いに越したことはありませんが、そればかりに注目してしまうと2年目・3年目に更新料がかかったり、補償を申請する際に別途費用がかかったりすることもあるため、注意が必要です。また、保険料と一人親方労災団体へ支払う月あたりの費用は、位置づけとしては月額料金の扱いですが、実質的には前払いで納めなくてはならない可能性があります

 (一人親方労災団体によっては、分割払いに対応している場合もあるため、詳しくは加盟予定の団体に確認をしましょう)。

毎月の費用

 一人親方労災保険に毎月かかる費用は、以下のとおりです。

  • 保険料
  • 一人親方労災団体の組合費や会費など

 保険料は法律で金額が決まっていますが、組合費は団体ごとに個別に設定されています。上述のとおり、これらの費用は前払いに設定されていることもあるため、支払いのタイミングも確認しておきましょう。

一人親方労災保険への加入手順

加入の手順
 最後に、一人親方労災保険への加入手順の流れをご紹介します。加入の流れを把握することで、スムーズに登録を進めることが可能です。

加入申し込み

 Webサイトなどで一人親方労災団体をチェックして、加入する団体を決定したら、加入の申し込みをします。基本的な申込方法は、以下の3通りです。

  • Webサイトにてオンラインで申し込みをする
  • 所定の申込書を記入し、FAXする
  • 所定の申込書に記入して、郵送する

 このとき、例えば当団体「一人親方団体労災センター」にて、FAXまたは郵送でお申込みいただく場合、「加入申込書兼誓約書」と「身分証の写し(コピー)」が必要です。

料金の支払い

 大半の一人親方労災団体では、料金の一部あるいは全部を申し込み時に支払う規定になっています。初回の支払いは請求書による窓口払いもしくは、所定の口座への振り込みにて対応するケースが一般的です。

 料金支払いのタイミングや方法に関しても、一人親方労災団体によってそれぞれ異なるため、詳細は加入する団体に確認しましょう。

加入申請

 手続きが正常に進行すれば、一人親方労災団体側が管轄の労働局にて、加入申請の手続きをおこなってくれます。申請者側で特におこなう手続きはありませんが、申請が完了するまでの日数は一人親方労災団体によって異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

 最短のケースでは、申し込みの翌日に手続きが完了します。翌日対応が可能である理由は、電子手続きができ、一人親方労災団体から労働局への申請がスムーズにおこなわれるためです。申請に日数がかかる団体では、1週間程度の日数を要することもあります。

 一人親方が団体に申請をすると、「加入証明書」が発行されます

 (労働局への申請が完了する前に、即日受け取りができるケースが多いです)。

 「加入証明書」は、対外的に労災保険加入者であることを証明するために必要です。
 労災保険への加入が必須条件となっている現場で仕事を請け負う際に、「加入証明書」がなければ現場に入れなくなる状況が考えられるなど、とても重要なものです。

まとめ

 一人親方労災保険に加入するには、雇用されずに個人事業主として業務をおこなっていることや、一人親方の対象業務であることなどの条件があります。条件を満たしている場合には、ご自身の条件に合った一人親方労災団体を通じて、一人親方労災保険に申し込みをしましょう。一人親方労災保険には、入会金・保険料・一人親方労災団体の組合費などの費用がかかります。加入時にかかる費用と、入会後にかかる費用をあらかじめチェックして、支払いに無理が生じないように注意しましょう。

 確認事項をチェックしたら、所定の手順に従って、一人親方労災団体にて登録をおこないます。スムーズに「加入証明書」を受け取り、補償が最短で受けられるよう、制度の整った一人親方労災団体で手続きを進めましょう。

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