一人親方として仕事をしている際に、最も困ってしまう状況の一つが、大きな怪我をしてしまったときです。建設業界では、業務中の怪我の発生リスクが決して低くありません。それにもかかわらず、怪我に対するリスクケアがこれまできちんととられていなかった面があり、業界全体として怪我への対策が大きな課題となっています。そこで、一人親方が怪我をした場合の対処法や、必ず入っておきたい「一人親方労災保険」について解説します。
本記事をご参考にしていただき、ぜひ怪我への対策を整えてください。
Contents
一人親方が怪我をした場合の対処法
一人親方は、仕事中や通勤中に怪我をするリスクの高い職業です。工事の現場で作業をしていて、高所から落ちてしまったり建材で身体をぶつけてしまったりすると、重症になってしまうケースもあるでしょう。他にも、通勤中に交通事故にあったり、ドアで指をはさんでしまったりなど、大小含めてさまざまなリスクがあります。業務中や通勤中に、怪我をしたときの基本的な対応は、病院での治療です。怪我の程度にもよりますが、早期に治療することで、怪我が重症化したり後遺症が残ってしまったりする事態を避けられます。
当たり前のことですが、まずは病院に行って、必要な治療を受けましょう。このとき重要なことは、業務中の怪我に対して、「一人親方労災保険」が利用できる(ただし、事前に加入している場合)点です。
「一人親方労災保険」を利用すると、治療費の自己負担が0円になります。
具体的な申請手順は、一人親方労災保険の申請方法とは|手順をパターン別に解説!の記事で詳しく解説していますので、ぜひチェックしてください。
一人親方が怪我をした場合の3つのリスク
一人親方が怪我をして病院で治療を受ける際に、一人親方ならではの注意点があります。
この章では、一人親方が怪我をした場合の3つのリスクを解説します。
治療費がかかる
業務上の怪我をして病院で治療を受けたり、薬を出してもらったりしたときには、治療費がかかります。一人親方の場合、国民健康保険が適用されるため、自己負担額は3割です。
(※会社員の方は、業務上のケガの治療に労災保険が適用されるため、社会保険が適用できない規則になっていますが、労災保険が利用できない一人親方は国民保険を使用できます)
仕事ができない
骨折するほどの重い怪我や、入院が必要な怪我をした場合、一人親方としての仕事を続けられません。請負元に迷惑をかけてしまうだけでなく、仕事ができない以上、収入も得られなくなってしまいます。
無理して仕事を続けると身体を壊す
「治療費の負担が重い」
「仕事に穴をあけられない・・・」
などの事情から、怪我をしているにもかかわらず、仕事を続けようとする方もいらっしゃるかもしれません。しかし、適切な治療を受けずに仕事を続けようとすると、重い負担がかかり、余計に身体を悪くしてしまいます。時には、後遺症が残ってしまうかもしれません。また、無理をしてより大きな怪我をしてしまった場合、請負元が管理監督責任を問われ、結果的にその後の仕事を貰えなくなる事態にも発展します。
怪我に備えて「一人親方労災保険」への加入がオススメ
一人親方が怪我をするリスクが高いのは、プライベートの時間よりも、むしろ業務中や通勤中です。そして、業務中や通勤中の怪我に備えるために、必ず加入しておきたいのは「一人親方労災保険」です。通常、労災保険は会社員を対象とした制度であり、個人事業主は対象外ですが、一人親方は特別加入が認められています。
「一人親方労災保険」は、安い掛け金で厚い補償が受けられる制度であるため、加入しない手はありません。
なぜ、「一人親方労災保険」がオススメなのか、3点ご紹介します。
業務中の怪我・病気の「治療での自己負担が0円」になる
「一人親方労災保険」に加入していれば、業務中や通勤中に発生した、怪我や病気の治療での「自己負担が0円」になります。
万が一、「一人親方労災保険」に加入していなかった場合の治療費は、前の章でご紹介したように治療費を負担しなくてはなりません。軽い怪我であっても、1万円を超すこともある高額費用を、ご自身で負担しなくてはならなくなります。
負担は、治療費の問題だけではありません。業務上の怪我をして、一人親方が労災保険に加入していなかった場合、請負元が管理監督責任を問われます。一度請負元に迷惑をかけてしまうと、次の仕事が受注できる否かにも影響する可能性があります。また、最近では「一人親方労災保険」に加入していないと、仕事を発注しないようにしている請負元も少なくありません。
仕事ができない期間の「休業補償」が受けられる
「一人親方労災保険」は、怪我によって仕事ができない期間の、収入に対する「休業補償」を受けられます。
具体的には、業務中・通勤中の怪我により仕事ができない4日目から、「給付基礎日額」に応じた額を受け取ることが可能です。「給付基礎日額」は、3,500円~25,000円まで16段階設定されており、一人親方が金額を任意で設定できます。
(給付基礎日額の8割の額を、給付金として受領出来ます。)
機能回復のための長期入院や大きな怪我をした場合でも、「一人親方労災保険」に加入していれば、日々の生活が保障されます。
身体に障害が残ったとき「障害補償」が受けられる
怪我や病気の程度によっては、身体の機能に障害が残ってしまう状況も起こりえます。
「一人親方労災保険」では、障害の等級に応じて、「障害補償年金」(障害が重い場合)もしくは「障害補償一時金」(障害が比較的軽い場合)が給付されます。
もちろん、怪我をしないに越したことはありませんが、一人親方がご家族や周りの方に大きな負担を負わせないためにも、「障害補償」はとても重要です。
まとめ
一人親方は、業務中の怪我のリスクが高い仕事です。また、建設業界全体を通して、怪我に対する万全の体制をとっているかどうか、厳しく目を光らせるようになっています。さまざまなリスクに対して備えるために、効果的な国の保険制度が「一人親方労災保険」です。
- 病院での治療費の自己負担が0円になる
- 休業補償を請求できる
- 障害補償がついている
という点から、一人親方の怪我のリスクに対して、力強くサポートしてくれる制度です。