一人親方労災保険の「労災センター通信」

一人親方が確定申告をしないとどうなる?大きなリスクとは?

 「一人親方は、確定申告をしないと問題になるの?」

 一人親方は、個人事業主の一つであるため、毎年確定申告が必要です。今まで会社員として働いてきた方にとって、確定申告は、とても面倒なものだと思えるかもしれません。わからないことも多く、確定申告しないままでもよいのではないかと、思っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、納税は国民の義務であり、確定申告をしないことは重大な問題になります。

 一人親方が確定申告をしないときに、どのような問題が生じるのか、一人親方特別加入団体である、「一人親方団体労災センター」が解説します。
一人親方の確定申告

一人親方は確定申告をしなくてはならない

 一人親方は、自身で確定申告をして、その年の納税額を確定させなくてはなりません。厳密には、国税庁にてさまざまな規定が設けられています。シンプルな目安としては、年間で20万円以上の収入があれば、確定申告が必須だと考えてください。

 ※経費との相殺で納税額が0円になる場合でも、収入と支出を正確に申告する必要があります。

 会社員の場合は、会社が税金の申告をおこなってくれますので、面倒に思われるかもしれませんが、義務として必ず申告してください。

参考:国税庁「確定申告が必要な方」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm

一人親方が確定申告をしないときのデメリット

 納税は、「国民の三大義務」の一つであり、違反したときには大きなペナルティがあります。ペナルティは、大きく2つの種類に分けられます。

延滞のペナルティがある

 期日までに確定申告をおこなわなかった場合、以下2つのペナルティが発生します。

 【無申告加算税(15~20%)】
 確定申告の期日を過ぎてしまったときには、「無申告加算税」として、割増の税率を負担しなくてはなりません。無申告加算税の具体的な金額は、納税額50万円までに対して15%、50万円を超える分について20%が課せられます。税務署からの督促の前にご自身で気が付き、申告した場合の無申告加算税は、5%まで減額されます。また、期日を過ぎてしまった場合であっても、正当な理由があるときには割増の課税が免除されることもありますので、確定申告をしていないことに気が付いたら、必ず自分から申告しましょう。

 【延滞税】
 期日中の納品が遅れてしまった場合、日数分に応じて「延滞税」がかかります。申告が遅れれば遅れる程、延滞税が高額になってしまうため、注意が必要です。金額の計算は少しややこしいですが、気になる方は、国税庁のWebサイトにて数値を入力するだけで、簡単に試算できます。

参考:国税庁「延滞税の計算方法」
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_r02nen_kigengo.htm

刑事罰が課せられる

 意図的に確定申告をしない方は、刑事罰の対象になります。無申告の場合に、必ず刑事罰が課されるわけではなく、あくまでも可能性の問題です。「単純無申告犯」の場合の量刑は、「1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」です。違法性が強い「無申告ほ脱犯」には、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」と、大変重いペナルティが課せられます。

一人親方が確定申告をしないと見つかってしまうの?

確定申告をしないリスク
 確定申告をしなかったとき、バレるかバレないかは、運次第です。たまたま、税務署に見つからないケースもあります。ただし、絶対に見つからない方法はありません。また、税務署から少しでも怪しまれた場合、逃げ切るのは不可能です。税務署には強い権限が与えられており、必要に応じて銀行口座の入出金の流れや、公共料金の支払い状況などをチェックできるためです。
 そして、上述のとおり、無申告が見つかったときのペナルティは非常に重く、通常の確定申告の手続きよりもはるかに大きな手間がかかります。確かに、確定申告の手続きは面倒に思えるかもしれません。しかし、最近ではインターネットをはじめ、手軽に確定申告をおこなうためのソフトが、とても充実しています。
仕事上の資材やユニフォーム・交通費、購入した書籍や参加したセミナーの料金など、幅広い項目を経費として計上可能です。経費で計上すれば、課税対象額から相殺できるため、節税につなげられます。

一人親方が確定申告をしないままになってしまいがちな理由

 現実問題として、確定申告をしないままの一人親方や、個人事業主は存在します。デメリットが明確に認識されていない部分もあるかもしれませんが、少なくとも確定申告が必要である認識があるなかで、なぜ無申告になりがちなのでしょうか?

 2つの理由について、解説します。

面倒なイメージが強い

 確定申告はどうしても、面倒なイメージが強くあります。時期や地域によっては、確定申告の会場で、何時間も待ち時間が生じることもあるでしょう。また、確定申告の手続きは、自身で売上高や支出などの数値を計算し、専用フォームに入力しなくてはなりません。特に、PC作業やデータ入力など、苦手だと感じている一人親方にとっては、余計に面倒だと感じられるのではないでしょうか?

やり方がわからない

 確定申告は会場に行けば、担当スタッフがやり方をある程度教えてくれるものの、基本的には自分でおこなわなくてはなりません。「生命保険料控除証明書」やローンの「残高証明書」など、どの書類を準備すればよいのかわからないときには、必要書類を自宅に取りに帰らなくてはならないなど、二度手間になることもあります。不慣れな作業を自身でおこなうのは、どうしても不安に感じられたり、余計に面倒に思えたりするものです。

一人親方にとって確定申告は面倒なものではない

 確定申告に対して、面倒なイメージを持たれている方も多いと思いますが、必要な書類さえきちんと準備すれば、それほど難しいものではありません。どうしても記入方法がわからないときには、会場でスタッフの方が教えてくれるためです。確定申告の際に必要なものは、以下のとおりです。

  • 番号確認書類(マイナンバーカード・通知カード・マイナンバーの記載のある住民票の写しのうち、いずれか1つ)
  • 身元確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・公的医療保険の被保険者証・パスポート・在留カード等のうち、いずれか1つ)
  • 印鑑
  • 税金の還付を受ける場合は、金融機関の口座番号がわかるもの
  • 所得を明らかにできるもの(支払調書・源泉徴収票など)
  • 医療費控除を受ける場合は、医療費控除の明細書、医療費通知(原本)
  • 社会保険料控除を受ける場合は、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書など
  • 生命保険料控除・地震保険料控除を受ける場合は、保険会社等が発行する支払額などの証明書
  • 寄付金控除を受ける場合は、寄附金の受領証(ふるさと納税など)

 など

 「e-Tax」(国税電子申告・納税システム)を利用して、事前に必要事項を入力しておくと、手続きがスムーズに進みます。また、確定申告のやり方がわからない、一人親方にオススメするのは、前もって税務署に電話で質問する方法です。
 確定申告期間中は税務署が多忙になるため、一つひとつの質問に対してていねいに対応してもらえないこともありますが、期間前であれば、かなりていねいに教えてもらえる可能性が高いためです。

まとめ

 一人親方にとって、確定申告をしないのは大きなリスクです。期間内に申請するよりも、高い額を納めなくてはならないだけでなく、悪質であるとみなされた場合には、刑事罰を科される可能性もあります。
 確定申告は、とても面倒なイメージがあると思いますが、申告内容自体はそれほど大変なものではありません。会場に行けば、スタッフの方がていねいに教えてくれますので、毎年、期間中にきちんと申告するようにしましょう。

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