一人親方労災保険の「労災センター通信」

内装業で独立するには?必要な準備と成功するポイントを解説

 建設業の中で「独立」のハードルが比較的低いといわれている内装業。経験やスキルを活かして独立したいと考える職人は多いでしょう。しかし、独立したものの失敗するケースも少なくありません。
 そこで本記事では、内装業で独立するために必要な準備と、成功するポイントをまとめました。しっかりとした事前準備と対策を練り、内装業での独立を成功させましょう!
内装工事の一人親方

内装業で独立する準備

 内装業に従事している方の中には、経験やスキルを活かして独立したいと考える方も多いでしょう。他の業種と比較して、内装業は独立のハードルが低いといわれています。周囲に、内装業の一人親方として活躍している方がいらっしゃるかもしれません。
 内装業で独立して成功するには、事前準備が欠かせません。これには、経験・資格・資金などが関係します。ここでは、内装業で独立する4つの準備を解説します。

内装業者として経験を積む

 内装業は、建設業の中で「独立」のハードルが比較的低いといわれていますが、独立して安定した仕事を獲得するにはある程度のスキルが必要です。そこで、リフォーム会社か工務店に就職したり内装業の親方に弟子入りしたりして、修行を積むとよいでしょう。一般的には、5~10年ほど修行を積んでから独立する職人が多いといわれています。
 未経験者が内装業に挑戦するのに、職業訓練校を活用する方法もあります。年齢を問わず求職者・転職者を対象にした6ヵ月間のコースがあり、授業料は無料です。内装施工の基本を学んだうえでリフォーム会社や工務店に就職することで、技術の習得が早まると期待できます。

取得しておくとよい資格や許可

 内装業で独立するために、特定の資格や許可の取得は求められていません。しかし、独立してから安定して仕事を獲得するのに、スキルを証明する資格は役立ちます。内装業で独立するにあたり、取得しておくとよい資格や許可は以下のとおりです。

  • 内装仕上げ施工技能士
     国家資格である技能検定制度の一種で、等級は1~3級まであります。技能検定試験は、鋼製下地工事作業・ボード仕上げ工事作業・カーテン工事作業・床仕上げ工事作業の4つに分かれています。
  • 建築施工管理技士
     建築現場で監督を行えるようになる国家資格です。施工計画・工程管理・品質管理・安全管理など、工事全体を管理する能力を証明でき、クライアントに安心感を与えられると期待できます。
  • 建築士
     建築物の設計に携わりたい方は、一級建築士・二級建築士の資格取得を目指すとよいでしょう。受験資格の学歴および実務経験の要件は厳しいですが、内装業で独立を目指す方には付加価値の高い資格です。
  • 建設業許可
     500万円以上の工事を請け負うには、建設業許可の取得が求められます。経営業務の管理責任者・専任技術者の設置や500万円以上の自己資本など、要件を満たすために人材と資金の準備が必要です。内装業で独立してから、事業を拡大して大規模工事を請け負う予定のある方は、建設業許可の取得も視野に入れておくとよいでしょう。

独立するスタイルを決める

 内装業で独立する際に、独立のスタイルを決める必要があります。独立するスタイルは、以下の2つです。

  • 個人事業主として開業する
     内装業で独立するパターンとして多いのは、個人事業主として開業する方法です。手続きは簡単で、税務署に開業届を提出することで、個人事業主として事業を開始できます。基本的に一人で事業を営みますが、同居する親族に仕事を手伝ってもらったり、繁忙期に短期アルバイトを雇ったりするケースもあります。
  • 法人として会社を設立する
     内装業で独立する2つ目の方法は、法人として会社を設立することです。会社設立には、社会的に信用されやすくなり、資金調達・案件獲得・従業員募集の際に有利になるメリットがあります。また、必要経費として計上できる項目が増えて節税対策がやりやすくなったり、大規模工事を請け負って大幅な売り上げアップを狙いやすくなったりするのも、会社設立の大きな魅力です。

開業資金を準備する

 内装業で独立するには、ある程度の開業資金を準備する必要があります。主な内訳は、以下のとおりです。

  • 資材購入費
     壁紙・カーペット・キッチンパネル・ボードなど、請け負う仕事に応じてさまざまな内装資材を購入する資金が必要です。工具類を揃えたり、養生テープなど消耗品を購入したりするのも自分で行います。
  • 事務所や資材置き場
     事業規模に応じて、事務所や資材置き場が必要になるでしょう。事務所の内装工事や、事務用品の購入にもコストがかかります。
  • 作業車両
     現場への移動や、資材の運搬に使う車両も必要です。
  • 人件費や営業費
     アルバイトを雇ったり、会社設立をして従業員を雇ったりする場合は、2~3ヵ月の給料分を資金として準備する必要があります。案件に応じて入金のタイミングが異なるため、給料の支払いを滞りなく行えるよう注意しましょう。また、集客も自分で行う必要があり、広告宣伝費やチラシのポスティングなどの営業費も発生します。

内装業で独立するメリット

一人親方としての独立のメリット
 内装業で独立するメリットをまとめると、以下のとおりです。

  • 独立のハードルが低い
     内装業は、壁紙・クロスの張替え専門で独立する方も少なくありません。特定の作業に集中できることで技術力を磨きやすく、事業拡大の際は職人の募集もしやすいと考えられます。他の建設業と比較して独立までのハードルが低いため、将来独立したいと考える若者が内装業を選ぶことも多いようです。
  • 需要が高く案件を獲得しやすい
     建設業で欠かすことのできない内装業は、需要が高く案件を獲得しやすいといえます。マンション・アパートの管理会社から直接案件を請け負うことで、安定した仕事量が得られるケースもあるようです。リフォーム・リノベーションが注目を集めている昨今、内装工事の需要はこれからも安定して伸びていくと予想できます。
  • 自分のペースで働けるようになる
     内装業は工事によって一人で作業できる場合も多く、独立後は自分のペースで働けるようになるのも大きなメリットです。工期を守るのを前提として、仕事の開始時間・終了時間は自分で決定するなど自由度は高くなります。
  • 年収アップが狙える
     内装業で独立すると、日給月給制ではなくなるため、数多くの案件をこなすことで年収アップが狙えます。会社を設立して大規模工事を請け負うようになると、年収1,000万円を目指すのも不可能ではありません。

内装業で独立して成功するポイント

 「内装業は比較的独立しやすい」といわれていますが、会社員時代と比べて働き方が大きく異なるため注意が必要です。また、独立後に失敗するケースも珍しくないため、成功する工夫が必要です。
 ここでは、内装業で独立して成功するポイントを4つご紹介します。

内装業以外の工事にも精通しておく

 内装業で独立して成功するために、内装業以外の工事にも精通しておくことをおすすめします。
 内装業では、壁紙・クロス張替え専門やトイレ工事専門など、特定の内装工事を専門に行うケースは少なくありません。しかし、電気工事なども含めた建物全体の工事ができるようになることで、請け負える案件の幅を広くできます。
 例えば、アパート・マンションの管理会社から直接案件を請け負ったり、リフォーム一括工事を請け負ったりできるようになるでしょう。直請け案件は単価の調整がしやすく、利益率が高くなると期待できます。

資金を常に手元に置いておく

 内装業で独立して成功するために、資金を常に手元に置いておくことも大切です。
 内装業は「仕入れ先行型」の仕事で、壁紙・クロスの仕入れだけでなく、下地材や清掃用の薬品を常備するなど、経費の負担が多くなる傾向にあります。特に高級マンションの内装工事を請け負う場合、壁紙・クロスの仕入れ費は高額になるケースもあるため注意が必要です。前述のとおり、従業員を雇用する際は給料の支払いも発生します。
 資金不足が原因で廃業に追いやられる個人事業主は少なくないため、資金繰りには十分な注意が必要です。

集客や営業に注力する

 内装業で独立して成功するポイントに、集客や営業に注力することも挙げられます。
 会社員時代は、仕事を獲得するために営業スタッフがいましたが、独立してからは営業の仕事も自分で行わなければなりません。今の案件から次の案件へスムーズに移行できるよう、普段から営業に力を入れておくことは重要です。
 例えば、現場作業中に関連会社の社長や同業者とよい関係を築き、情報交換をできる体制を整えましょう。仕事がなくて困っている時期でも、施工技術や人柄が評価され、声がかかるかもしれません。
 また、チラシを作成してポスティングしたり、ホームページやSNSを活用したりして集客をする個人事業主も少なくありません。

労災保険へ「特別加入」する

 内装業で独立して成功するために、労災保険へ「特別加入」することも忘れてはなりません。
 会社員時代は、会社が加入している労災保険が適用されましたが、独立後は労災保険の対象外となるため注意が必要です。そこで、一人親方など労働者でない方でも、労働者に準じて労災保険の補償が受けられるよう特別に任意加入が認められている「特別加入制度」を活用するようおすすめします。
 内装業の一人親方の場合、一人親方労災保険に加入することで、仕事中や通勤中で事故にあってしまった場合の負傷・疾病・障害・死亡などに対して、国から手厚い補償が受けられるようになります。
 内装工事では、脚立やカッターを使った危険をともなう作業もあるため、万一の労働災害に備えて一人親方労災保険に加入しておくと安心です。費用や手続きに関するご相談は、「一人親方団体労災センター」までお気軽にお問い合わせください。

まとめ

 内装業で独立するために必要な準備と、成功するポイントをまとめました。
 内装業は、ある程度の経験と技術力を身につけることで、他の建設業と比較して独立しやすいのがメリットです。独立することで、自分のペースで働けるようになったり、年収アップが狙えたりするのも魅力です。
 一方で、独立後は自分で営業しなければならないことや、資金繰りに失敗して廃業に追いやられるケースがあるなど、デメリットも知ったうえで成功するために工夫する必要があります。また、独立後は労災保険が適用されなくなるため、一人親方労災保険に加入しておくなら安心です。

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