副業などの働き方改革や田舎暮らしへの憧れから、自身の経験を活かして建築業界で独立したいと考える方も多いでしょう。そのようなとき、未経験者から独立するまでの流れや、成功するコツについて理解できれば安心ですよね?
そこで本記事では、建築業界で独立するために必要な準備と成功するポイントをまとめました。独立する際の注意点と対策も含めた大切な情報ですので、ぜひ最後までお読みください。
Contents
建築業で独立するために必要な準備
「独立を視野に入れて建築業界へ飛び込みたい」「自身の経験を活かして建築業で独立したい」方は、何を準備する必要があるでしょうか。ここでは、独立に向けて今から取り組める5つの準備をご紹介します。
刺激を受けるような経験を積む
建築業で独立するのに、経験は欠かせません。
未経験者であれば、建築関係の企業や設計事務所に就職して、実際に業務をこなすようにしましょう。自身が担当する作業だけでなく、業務全体を理解できるよう努めましょう。さまざまな分野の仕事に積極的に取り組むことで、独立の際に必要な幅広い知識が得られると期待できます。
実務経験以外にも、モチベーションの維持や独立後の理想像を確立するために、刺激を受けるような経験を積んでおくことも大切です。例えば、写真集・雑誌・書籍を読んで建築に関する知識を身につけられるでしょう。また、実際に国内外の建築物を見学して、さまざまな作品に触れるのも貴重な体験です。
建築ツアーに参加して、添乗員やツアー参加者と知識を交換できるかもしれません。見たい建築物をリストアップして、自身で旅行プランを立てるのもよいでしょう。
建築物を実際に見て感動することで、「なぜ建築業で独立したいのか」を再考し、モチベーションを高められるでしょう。旅行の計画や異文化体験は、視野を広げたり物事を多角的に分析したりすることにもつながり、経営者に求められる資質を磨く機会にもなります。
持っていると有利な資格を取得する
建築業で独立する準備として、必要または持っていると有利な以下のような資格を取得しましょう。
- 建築士
「建築士」として独立するには、国家資格を取得する必要があります。建築士は建築物の設計や工事監理などを行う技術者で、資格には一級・二級・木造があります。二級建築士は一級建築士と比較して設計できる範囲は限られますが、住宅設計をメインに受注するなど業務形態によって独立可能です。 - 宅地建物取引士(宅建)
公正な不動産取引を行うため、宅地建物取引業法により定められた国家資格です。宅建は不動産業界に関連する資格ですが、建築業界ともかかわりが深く、土地の購入から不動産の販売・賃貸まで業務を広げる際に役立ちます。 - インテリアコーディネーター
公益社団法人インテリア産業協会が主催する民間資格です。快適な住空間を作るインテリア計画や商品選択など、トータルにコーディネートできる知識やスキルを持つことを証明します。建築士で取得している方は少ないため、他社と差別化するのに効果的な資格だといえるでしょう。
広報や宣伝に役立つスキルを身につける
建築業で独立する準備として、広報や宣伝に役立つスキルを身につけることも挙げられます。
独立後は、人脈や伝手がない限り、仕事は自分自身の力で獲得しなければなりません。その際に必要となるのが、広報や宣伝に役立つスキルです。
例えば、ホームページを作成するスキルを身につけておくなら、独立後に自社Webサイトを作成して集客につなげられます。Facebook・Twitter・InstagramなどSNSを活用して、ホームページに誘導するのも効果的です。他にも、チラシをデザインして作成したり、ロゴや名刺を自身で作成したりできるようになるなら、独立後の営業活動に役立ちます。
これらはそれぞれの専門業者に依頼して作成できますが、自身で行うことでオリジナリティを出したり、コスト削減につなげたりするメリットがあります。
開業資金を調達する
建築業で独立する準備に、開業資金を調達することも挙げられます。
必要な資金は事業規模や形態により異なりますが、最低でも一人親方は100万円、従業員を雇う場合は200万円ほど必要だといわれています。しかしこれらはあくまでも最低限の目安で、資金が不足すると倒産してしまうため、事前にしっかりと計算して資金に余裕を持たせることは重要です。
独立にあたり大きな費用が発生するのは、以下の2点です。
- 道具や機材購入費
仕事で使う道具や材料は、自分自身で用意しなければなりません。例えば設計をメインに仕事を請け負うには、CADが必要です。パソコン・コピー機・FAXなどオフィス機器の購入費も発生します。 - 事務所の賃貸費用
事務所を借りる場合は賃貸費用が発生します。建築業界であることを意識して、内装リフォームをするなど顧客へのアピールになる工夫が必要でしょう。また、可能であれば自身で設計した事務所を構えることで、集客につなげられます。その際は、事務所建設費用としてまとまった金額が必要です。
開業に必要な手続きを知っておく
建築業で独立するにあたり、開業に必要な手続きを知っておくことも大切です。また開業形態により特徴が異なるため、それぞれのメリット・デメリットを把握しておくとよいでしょう。
- 個人事業主(一人親方)
個人事業主として開業する場合は、税務署に開業届を提出します。青色申告をするには、「所得税の青色申告承認申請書」も同時に提出しておく必要があります。一人親方は小規模な経営ができ、受注する案件を選びながら自分のペースで働けるのがメリットです。 - フランチャイズ化
本部を運営するフランチャイザーと加盟店契約を結ぶ方法です。少ない資金ではじめられ、開業までのハードルが低いメリットがあります。加盟金やロイヤリティが発生しますが、個人で開発したり扱ったりできないような商品を利用したり、本部の技術力などノウハウを活用できたりするのも魅力です。認知度の高いフランチャイズはブランド力を活かした営業活動ができ、集客の手間を軽減できます。 - 法人化
法人化する場合は、商号・資本金・役員報酬の額などを決めます。定款の作成・法務局にて会社設立登記申請・税務署にて社会保険や労災保険の手続きなどが必要です。手続きに手間とコストがかかりますが、社会的に信頼度が高く融資が受けやすかったり、個人事業主と比較して納税額が少なかったりするメリットがあります。
建築業で独立して成功するポイント
建築業で独立した後に、「収入が安定するか不安」「失敗したくない」など心配な点も数多くあるでしょう。ここでは、1章で説明した必要な準備に加えて、成功するためにさらに必要な知識やスキル、ポイントについて解説します。
デザインスキルを身につける
建築業で独立して成功するポイントとして、デザインスキルを身につけることが挙げられます。
例えば、設計図を書けるようになるために、CADソフトを使いこなせるようにしておくとよいでしょう。有名なCADソフトに、高いシェアを誇るフリーソフトの「Jw_cad」や、「Vectorworks」「AutoCAD」などが挙げられます。
また、Adobe社のデザイン系ソフトである「Photoshop」「Illustrator」や、3DCGソフトなども使いこなせるようになるとよいでしょう。これらは、建築物のイメージを伝えるパース制作で役立つスキルです。
設計図を書いたりデザインしたりするのに必要なスキルを身につけ、最新ツールについても常にアンテナを張っておき、使いこなせるようにすることが大切です。
相談しやすい弁護士を探す
建築業で独立して成功するには、相談しやすい弁護士を探しておくことも大切なポイントです。
建築設計や不動産の業務では、法律関係のトラブルがつきものであるため、いざとなったときに相談できる弁護士がいると安心です。身近に信頼できる弁護士がいたり、紹介してもらえたりする場合は、早めにコンタクトを取っておきましょう。
伝手がない場合は、弁護士検索サイトや弁護士保険の利用も検討できます。
マーケティングについて学ぶ
建築業で独立して成功するために、マーケティングについても学んでおきましょう。
ホームページやSNSを活用して集客を狙うには、SEO対策について知っておく必要があります。これは、検索結果で上位表示されるための施策のことで、キーワードの選定や有益なコンテンツの作成などが関係します。ただホームページを作成してブログを更新するのではなく、集客につながる仕方で運用することが大切です。
また、競合他社や建築に興味のある方のブログ・SNSをフォローすることで、顧客のニーズや最新情報を掴めるケースもあるでしょう。建築業界における顧客のニーズやトレンドを把握することで、マーケティングに活かせます。
人脈を広げる
建築業で独立して成功するには、ビジネス関係とプライベート関係で人脈を積極的に広げることが大切です。
ビジネスに直結する人脈には、クライアントになりそうな人・共同で業務に携われそうな人・下請けまたは元請けとして協力してくれそうな人・刺激を受けて切磋琢磨しあえる人などが挙げられます。
自身とは全く異なる業界に勤めている人や複数の業務・趣味を同時にこなして常に動き回っている人など、プライベート関係でも人脈を広げられるかもしれません。ビジネスに直接関係のない人脈でも、広げることで刺激を受けたり、仕事のアイディアが生まれたりする場合があります。
労災保険に加入する
一人親方として独立する場合は特に、万一に備えて労災保険に特別加入することをおすすめします。
独立して仕事を請け負う一人親方は、一般の労働者のように会社が加入している労災保険が適用されないため注意が必要です。労災保険に未加入の状態で仕事中にケガや病気をすると、基本的に治療費を全額負担しなければなりません。休業中の生活費も貯金を取り崩すことになり、経済的な負担がかかってしまいます。
そこで、一人親方の場合は一人親方労災保険に特別加入することで、万一の労働災害時に労災保険の手厚い補償が受けられるようになります。労災保険の特別加入制度についての詳細や加入手続きに関するご相談は、「一人親方団体労災センター」までお気軽にお問い合わせください。
まとめ
建築業で独立する準備と、成功するポイントをまとめました。
独立に必要な準備は、以下の5つです。
- 刺激を受けるような経験を積む
- 持っていると有利な資格を取得する
- 広報や宣伝に役立つスキルを身につける
- 開業資金を調達する
- 開業に必要な手続きを知っておく
以上の準備に加えて、成功する5つのポイントも押さえておきましょう。
- デザインスキルを身につける
- 相談しやすい弁護士を探す
- マーケティングについて学ぶ
- 人脈を広げる
- 労災保険に加入する
未経験の方でも、しっかりと準備をすることで建築業に飛び込み、将来は独立を目指すことも可能です。スムーズな手続きと独立後の成功を掴むために、本記事で解説したポイントを早速実践しましょう。