一人親方労災保険の「労災センター通信」

一人親方でも間違えにくい請求書の書き方|注意点や作成方法も解説

 一人親方として独立した後、請求書の書き方にとまどう方もいらっしゃるでしょう。先方へ提出する書類であるため、適切な書き方をマスターしておきたいものです。
 一見複雑なイメージのある請求書ですが、見本を見つつ注意点に気を付ければ、だれでも作成できるようになります。また会計ソフトなどを活用すれば、計算や請求書への記載が自動で行われるため事務作業が楽になりますよ。
 この記事では、一人親方が請求書を書くときの基本や注意点など、書き方について解説します。
一人親方の請求書の書き方

一人親方の請求書作成パターン

 現在はパソコンの発展により請求書は複数の作り方で作成できます。まずはどのような方法が使えるのかを解説します。

Excelやスプレッドシートで作成する

 請求書は、Excelやグーグルスプレッドシートの無料フォーマットを使えば、簡単に作成できます。フォーマットには数量や金額を入力すると自動で計算してくれる機能がついており、自身で計算する必要がありません。
 一人親方でも無料の請求書フォーマットを活用すれば、大量の請求書を処理できるようになります。データ上で管理するため、大量の紙を保管しなくてよいのも魅力です。
 請求書の無料フォーマットは、ネットで配布されています。ネット環境につなげるパソコンがあれば、ぜひご利用ください。

取引先の請求書フォーマットに従う

 取引先企業の中には、あらかじめ請求書のフォーマットを用意しているところがあります。取引先に指定の請求書があるなら、そちらを使いましょう。
 決められた請求書がある取引先に指定外の形式で提出すると、受け取ってもらえない可能性があります。請求書を作成する際は、ご注意ください。
 また、事前に請求書の指定やフォーマットがあるか確認しておきましょう。

会計ソフトで作成する

 パソコンの会計ソフトの中には、見積書・納品書・請求書を作成できるタイプがあります。会計ソフトの機能を使い請求書を作成するのもよい方法です。
 会計ソフトは、入力された内容が連動しているため、帳簿付けのデータをそのまま請求書に反映できます。帳簿や請求書を作成する際、いちいち入力する手間がかかりません。
 請求書作成をはじめとした事務作業の手間を少しでも軽減したい人は、会計ソフトをおすすめします。

市販の請求書に手書きで作成する

 手書きで作成する場合、市販の請求書を購入し必要事項を書き込む形で作成します。請求書は100円均一や文具店で販売されていることが多いです。
 パソコンを使う方法よりも手間がかかりますが、書類の改ざん防止やパソコンが使えない状況でも作成できるなど、手書きならではのメリットもあります。そのため、いまだに手書きの請求書を採用している人も多いです。
 住所や電話番号など変わりにくい情報は、ゴム印を作れば手間を軽減できます。パソコンだけでなく、手書きでも請求書を作成できる準備をしておくと、万一のときでもすぐに対応できるため便利です。

【一人親方様向け】記載が必要な請求書の項目

 請求書の主な書き方を押さえたら、実際に記入する方法を確認しましょう。以下の図は、実際に使われている請求書とその中にある必要事項に番号を振ったものです。

一人親方の請求書

番号順に必要事項を解説します。

①宛名

 請求先の社名・屋号・氏名を記入する部分です。記入の際はどれも正式名称で記入しましょう。個人名の場合は「様」を、会社名の後には「御中」をつけてください。
 パソコンで入力する際は、取引先ごとにフォーマットを用意しておくと間違える心配がありません。手書きの人は、宛名ごとのゴム印を作っておきましょう。

②請求者情報

 請求者の社名・氏名・住所・電話番号を記載する部分です。記入するだけでなく、社名の横に角印や印鑑を押すとより丁寧な印象を与えられます。
 宛名同様、フォーマットへ入力しておいたり、ゴム印を用意したりすると間違いを防止できます。

③~④発行日と振込期日

 請求書の発行日を記載する部分です。取引先が法人なら請求先の締日を記載してください。
 取り決めがない場合、作成した日付でもよいですが、決まっているなら相手の規定に合わせましょう。あわせて請求金額の振込日も忘れず記載してください。

⑤請求書番号

 請求書番号は書類管理の際に活用する番号です。
 なくても処理上は問題ありませんが、記入しておけば自身の管理や請求先からの問い合わせに役立ちます。管理のために必要な番号のため、忘れずふっておきましょう。

⑥施工内容

 施工や費用の内容を記載する項目です。具体的には、使用した器具や建材の品番・品名・サービス名や、費用項目などが該当します。
 施工内容により、一枚の請求書には書ききれないこともある項目でもあります。請求書内に内容が収まらなかったり、1行での記入が難しかったりする場合は、納品書とあわせて送付して対応しましょう。

⑦~⑫施工にかかった費用

 施工に使ったものの数量・単価・金額を記載します。請求している内容と金額が分かるように記入しましょう。小計ですべての取引を合計し、税抜金額を提示してください。その後、消費税額を記入し、合計した金額が請求金額となります。小計に消費税額を入れてしまったり、請求金額を記載したりする人もいますが、混同しないようにしましょう。

⑬振込先

 請求した金額を振り込んでもらうための銀行口座を記入する項目です。金融機関名・支店名・口座種別・番号・名義を記入してください。口座名義はカタカナで記入しましょう。間違えると振込日に請求した金額を振り込んでもらえないなどの事態になりかねません。請求者情報と同じく、こちらもフォーマットへの入力やゴム印の用意などの対策を取りましょう。

⑭備考

 ほかの項目に該当しない内容を記入する部分で、振込手数料の負担などが記載されます。特に記載することがなければ、何も書かなくてもよい項目です。
 相手に振込手数料を負担してもらうケースなら、「恐れ入りますが、振込手数料は貴社にてご負担ください」と記入してください。

一人親方が請求書を作成する際の注意点

請求書作成の注意事項
 これまでの内容を踏まえながら作成すれば、経理の知識がなくても有効な請求書を作成できます。次の章では、基本の知識だけでは対応しにくい疑問や注意点の中でも、一人親方に起きがちなものを解説します。請求書を作成する際は、これから解説する内容もあわせてご活用ください。

金額の書き方

 請求書に金額を書くときは、右詰めで「¥」または「円」を記入します。書き方はそれぞれ違うため、正しい方法を覚えておきましょう。

  • ¥マークの場合
     数字の前に¥を記入し、数字の後ろに伸ばし棒をつけます。例えば、1,000円分の請求があったとした場合は「¥1,000-」となります。
  • 円の場合
     円は数字の後に円を記入するか、数字の前に金、数字の後に円也を記入します。先ほどの例を使うと「1,000円」「金1,000円也」となります。

 金額を記入する際は、どちらの方法か統一しておきましょう。請求書ごとに¥と円が混ざっている状態も避けてください。また、どちらの場合でも3桁ごとにカンマを入れるのが基本です。カンマの入れ忘れにも気を付けましょう。

人工代の書き方

 人工代(人件費)は、一人親方がよく使う項目ですが、ほかの業種ではほとんど使いません。そのため、書き方が分からない人もいらっしゃるでしょう。
 人工代は1日当たり○○円と計算されます。例えば、自身が人工代1日3万円で施工している業者で、3日間働いた場合、以下のようなかたちで記入します。

日付 施工内容 数量 単位 単価 金額
2022.12.12 人工代(1人×3日間) 3 人口 30,000円 90,000円

 施工内容の部分には、費用項目だけでなく「何人働いていたのか」「何日間働いたのか」を記入しましょう。請求先の企業が一目で金額を理解できるような書き方を意識してください。

端数が生じたとき

 請求書を作成する際、端数が生じることもあります。端数が生じた場合は、四捨五入・切り捨て・切り上げのいずれかで対処しましょう。
 請求書の端数処理は、法律などでルールが定められているわけではないため、自身の判断で決定できます。端数処理を決めておかないと処理方法がバラバラになるため、帳簿や請求書の管理に悪影響を与えます。
 請求書の処理は、あらかじめ統一しておきましょう。一人親方として独立するときや、請求書の作成方法を決めるとき端数処理の方法も決めておくと、作成にかかる手間を軽減できます。
 請求書の端数処理は、取引先と報酬に関する相談をするときにもかかわる要素です。契約前の話し合いで先に説明しておきましょう。
 まったく説明のない状態で請求書を作成し送付すると、費用が合わないなどの問い合わせが発生します。対応の手間がかかるだけでなく、相手に不親切な印象を持たれてしまうかもしれません。
 請求書の端数処理は事前に決めておくことだけでなく、取引先への説明も欠かさないようにしてください。

まとめ

 一人親方が請求書を作成する際、4つの方法が活用できます。

  • Excelやスプレッドシートで作成する
  • 取引先の請求書フォーマットに従う
  • 会計ソフトで作成する
  • 市販の請求書に手書きで作成する

 それぞれメリットがあるため、自身の好みや働き方に合わせた方法を採用しましょう。また、請求書がきちんと機能するには、以下の項目が必要です。

  • 宛名
  • 請求者情報
  • 発行日と振込期日
  • 請求書番号
  • 施工内容
  • 施工にかかった費用と内訳
  • 振込先
  • 備考

 ひとつでも不備や抜けがあれば、振込に影響を与えます。請求書を作成する際は、間違えないよう確認しながら作成してください。
 また、請求書の金額ルールや、一人親方が利用する項目も覚えておきましょう。

  • 金額の書き方
  • 人工代の書き方
  • 端数が生じたときの処理方法

 請求書は、たくさんのルールや書き方があり、一人親方として仕事をしながら作成するのはとてもたいへんです。事務作業の負担を減らすには、便利なツールを使いこなす必要があります。

請求書はツールを使いこなしつつ、分かりやすい内容で作成するよう心がけてください。

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