一人親方労災保険の「労災センター通信」

プライベートの怪我で仕事ができない!万一の備えを用意しよう

 一人親方が業務中に怪我をした場合、一人親方労災保険に加入していれば補償を受けられます。では、業務外で負傷し仕事ができなくなったときはどうすればよいのでしょうか。
 一人親方の場合、会社員ではないため万一の備えも自分で用意しなくてはなりません。しかし怪我をして動けなくなってからでは遅いため、一人親方が活用できる備えについて、健康なうちに学んでおきましょう。
 この記事では、一人親方がプライベートで怪我をしたとき使える補償について解説します。あわせて、万一の事態を防止するための方法もご紹介します。
プライベートのケガ・病気

プライベートの怪我に労災保険は使えない

 通常、仕事や通勤中に怪我をした場合、労災保険を使えば治療や働けない間の補償が受けられます。しかし、プライベートの怪我は労災保険の対象外となるため、使えません。
 一人親方がプライベートで怪我をしたときは、別の制度を利用して治療費や休業中の収入を確保します。一人親方の怪我の備えは、労災保険だけでなく、プライベート時の対策も必要です。

一人親方が利用できる補償制度はある?

 会社員であれば、仕事中はもちろん、プライベートでも一定の条件を満たせば健康保険の傷病手当金制度が使えます。この制度は社会保険のみの制度であり、国民健康保険にはありません。
 一人親方は、小規模事業者であるために市町村の国民健康保険に加入している方が多いです。社会保険に加入できない一人親方がプライベートでの怪我に対して保障制度を使うには、別の保険に加入しなくてはなりません。
 一人親方が社会保険のように傷病手当金などの制度を利用するには、一人親方および小規模事業所用の国民健康保険である「建設国保」に加入する必要があります。加入すれば一人親方でも、傷病手当金や出産一時金などの制度を利用できます。
 便利ですが制度を利用するには、事前に加入しておかなくてはなりません。
 一人親方がプライベートでの怪我をして働けなくなったときに、活用できる制度はあります。しかし、怪我をしてから利用できる制度はほとんどないといえるでしょう。
 万一の事態に遭遇しても安心して生活するために、普段から自分で備えを用意しておかなくてはなりません。

プライベートでの怪我に備えて一人親方にできること

 一人親方がプライベートで怪我をしたときは、自身で用意した保障を使って対応します。万一の事態に遭遇してもいつもと変わらない生活をするためには、健康なうちから対策を取り続けなくてはなりません。一人親方がプライベートでの怪我に備えてできる対策をご紹介します。

貯金する

 多くの一人親方が万一の備えとして活用しているのが、貯蓄です。報酬のうち数%を貯金に回すなど、日ごろからまとまった額を貯金しておき、仕事ができなくなったときの生活維持に充てます。
 少ない額でも日ごろから貯金していれば、万一の事態が発生しても当面はいつも通りの生活を送れるでしょう。業務や生活を圧迫しない程度の金額を、貯金用口座に入れておくだけでできます。
 余裕があれば、普通預金と定期預金のふたつの口座を作って貯金しておきましょう。普通預金だと万一の事態にすぐ対応できますが、気軽に下ろせる分ついつい使ってしまうなどの事態も起こりがちです。
 定期預金なら気軽に引き出せない分、まとまった金額を用意できます。近年は預ける期間が数週間~数か月の短期タイプなどもあり、万一の備えとしてだけでなく資金管理に活用している方も多いです。
 興味がある方は、銀行のパンフレットやホームページからどのような商品があるのか調べてみるとよいでしょう。

生命保険や損害保険に加入する

 民間の生命保険や損害保険の中には、病気や怪我の保障や、働けないときの収入を補償してくれる保険があります。健康なうちに、これらの保険に加入しておくのもよい方法です。
 保険商品は販売会社や商品により保障内容や期間が違うため、自身にあったものを的確に選ばなくてはなりません。相性のよい保険に加入できれば、公的な保障がなくてもいつもと変わらない生活を送れるようになります。
 保険の加入には審査に通る必要があり、健康状態や収入などを調査されます。怪我をした状態では加入できないため、健康なうちに加入しておきましょう。
 保険料はかかりますが、加入しておけば万一の事態でも安心して対応できます。貯金とあわせて行っておけば、より万全な体制を築けるでしょう。

一人親方に加入をおすすめしたい保険3選

 生命保険や損害保険は、現在でもさまざまな種類があるうえに、日々新しいものが販売されています。保険の知識がなければ、正しい保証を用意するのは非常に難しいです。この記事では、一人親方がプライベートでの怪我や病気の対策を行う際に便利な保険をご紹介します。

医療保険

 医療保険は、怪我や病気で入院または手術を受けたときに給付金を受け取れる保険です。給付金が受け取れる条件は保険商品により異なります。
 例えば、入院費の算定方法だと、入院した日数で給付金額を計算するタイプや、実際にかかった医療費に応じて給付するタイプがあります。特約をつければ、特定の傷病への保障を手厚くすることも可能です。
 医療保険は、保障を手厚くすればするほど保険料が高くなる傾向にあります。加入を検討する際は、特約の内容と保険料に注意しながら選びましょう。

就業不能保険

 就業不能保険は生命保険の一種です。傷病で働けない状態が一定期間超えて続いた場合に、月数十万円の給付金を受け取れます。
 給付金額は保険料により異なり、保険料が高ければ高いほど保障も手厚くなります。収入と同じくらいの金額を毎月もらえるよう契約するのがベストですが、保険料が生活費を圧迫するほど高くなってしまうと、別の問題が発生するため、よく考えて契約しなくてはなりません。

所得補償保険

 就業不能保険と同じような保険に、所得補償保険があります。所得補償保険は、損害保険会社が提供している保険で、怪我や病気で働けないときに月額で給付金が支給される保険です。
 就業不能保険と内容はほとんど同じですが、所得補償保険には保険金額に上限があり、一人親方の補償金額は契約時の所得額のうち最大70%までとなります。
 また、所得補償保険は商品ごとに保険期間が異なります。給付金が支払われる条件を満たしたあとの1~5年だけ補償するタイプや、定年に当たる60~65歳まで補償が続くタイプなど、実にさまざまです。
 保険商品を選ぶ際は、ほかの保険同様、商品ごとの特徴や違いに注目しながら検討しましょう。

一人親方がプライベートでの怪我から身を守る方法

一人親方の健康管理
 一人親方がプライベートで怪我や病気になると、特別な保険に加入していない限り、公的な保障は使えません。自分で万一の備えを用意して対応する必要があります。
 いつまでも健康な状態で仕事をするには、普段の備えはもちろん怪我や病気から自身の体を守ることも大切です。一人親方がプライベートでの怪我から身を守る方法を解説します。

体調管理を怠らない

 怪我や病気を防ぐには、普段から体調管理をしっかり行っておかなくてはなりません。

  • 睡眠時間
     不規則な睡眠時間は万病のもとです。病気だけでなく、集中力の欠如やふらつきによる怪我を引き起こすこともあります。

 普段から睡眠は最低でも6~7時間は確保し、毎日同じ時間に眠る習慣を身につけましょう。睡眠時間と入眠のタイミングを整えると、思わぬ怪我や病気に負けない強い体を手に入れられます。

  • 栄養バランスの整った食事
     食事を選ぶ際、ついつい肉や脂っこい料理を選びがちですが、栄養バランスの悪い食事は体調不良のもとです。思わぬ体調不良や怪我を防ぐには、栄養バランスにも注目しましょう。

 健康的な体を保つには、体内の働きを調節するビタミンやミネラルも必要です。普段から肉や野菜・穀物をバランスよく食べる習慣を身につけましょう。
 食べすぎ・飲みすぎにも注意し、普段から適切な食事量を心がけてください。

健康診断を定期的に受ける

 普段から自発的に気を付けるだけでなく、健康診断を受けて自身では気が付きにくい疾病に備えるのも大切です。怪我の予防と健康診断が結びつかない方もいるかもしれませんが、意外なところで関わりがあります。
 例えば、高血圧による脳血管障害や糖尿病による低血糖の発作など、病気が原因で転倒する方がいます。転倒がもとで大怪我をする方もいるため、万一の事態を避けるには気が付きにくい症状にも注意しなくてはなりません。
 転倒するほど重大な発作が起きない場合でも、立ち眩みがもとで骨折や突き指をする方もいます。小さい怪我でも工具を握れなければ仕事はできません。
 気が付きにくい病気は、体の症状だけでなく思わぬ怪我を生み出します。普段から定期的に健康診断を受ける習慣があれば、怪我のもととなる疾患にも対応できます。

無理なスケジュールを立てない

 プライベートでの怪我を防ぐには生活上での注意だけでなく、仕事でも対策が必要です。仕事のスケジュールを立てるときは、必要以上に詰め込まないようにしましょう。
 たくさん報酬がほしいからとスケジュールを詰め込むと、体を休める時間が足りなくなります。疲労が蓄積されると立ち眩みや不注意によるケガが増えるため、とても危険です。
 また、余裕がない状態の工期は焦りを生み出し、思わぬ事故を招きます。労災を防ぐためにも適度な余裕は必要です。
 仕事の予定を入れるときは、活動できる時間いっぱいに詰め込むよりも「もうちょっと頑張れるかな?」と思えるくらいの量に調節しましょう。プライベートはもちろん、仕事でも余裕をもって行動するよう心がけてください。

まとめ

 一人親方がプライベートで怪我をしたとき、労災保険は使えません。また、特殊な保険に加入していない限り傷病手当金制度も使えないため、健康なときから対策をする必要があります。
 具体的な対策としては、以下のものがあります。

  • 貯金する
  • 生命保険や損害保険に加入する

 どちらか片方のみで対策するのではなく、両方をバランスよく実施しましょう。保険を活用する際は、以下3つの商品をご活用ください。

  • 医療保険
  • 就業不能保険
  • 所得補償保険

 それぞれ特徴や給付条件が違うため、注意点も踏まえて理解しましょう。また、普段から思わぬ怪我を防止するための対策も必要です。

  • 体調管理を怠らない
  • 健康診断を定期的に受ける
  • 無理なスケジュールを立てない

 プライベートの怪我で働けない状況を予防するためにも、普段から規則正しい生活を心がけましょう。

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