独立したての一人親方の場合、請求書の書き方に悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
書き方を誤ると、正式な書類として受理されなかったり取引先とトラブルになったりする可能性があります。収入に関わるため、作成方法や記載内容について確認することは大切です。
今回は、一人親方が個人事業主として把握しておくべき請求書の書き方や、チェックポイントについてご紹介します。
10月より導入されるインボイス制度に関してもまとめているため、ぜひ参考にしてください。
Contents
請求書の作成方法とは?
請求書は作成方法が法律で決められているわけではないため、自分のやりやすい方法で作成することが可能です。まずは、具体的にどのような作成方法があるのかをご紹介します。
WordやExcelを用いて自力で作成する
WordやExcelを使ってオリジナルの請求書を自分で作成する方法があります。会社のロゴや電子印鑑の社印があらかじめ配置してある書式を作成しておけば、必要事項を記載するだけで済むため便利です。
レイアウトの決めやすさで選ぶならWord、自動計算を可能にしたい場合はExcelを使用するとよいでしょう。
また、インターネットからWordやExcelの請求書テンプレートを無料ダウンロードする方法もあります。Microsoftの公式HPにもテンプレートが豊富に掲載されているため、チェックしておくことをおすすめします。
請求書発行ソフトを利用する
請求書発行ソフトとは、請求書の発行や自動作成・送付・保管・システム連携などの機能が備わったソフトのことをいいます。
このソフトを使うと、取引先の情報や取引内容・数量・金額などの必要事項を入力するだけで簡単に請求書の作成が可能です。
システム内には複数のテンプレートが保存されており、好きなデザインを選択できます。また、記載項目についても自由に編集できるため、自社仕様の請求書を作成したい方にもおすすめです。
請求書だけでなく見積書や納品書・領収書などの作成や送付が可能なソフトもあるため、使いやすいものを探すとよいでしょう。
市販の請求書用紙に手書きで作成する
市販の請求書用紙を購入して、手書きで作成する方法もあります。用紙は文房具店や100円ショップでも購入できるため、すぐに準備したいときなどは手書きで対応するケースも珍しくありません。
手書きだとPC操作が苦手な方でも安心ではありますが、文字や数字の書き方に癖がある場合だと読み間違えてしまう可能性があります。そのため、ボールペンを使って丁寧にはっきりと書くようにしましょう。
また、請求書は横線での修正は不可能なため、書き間違えたり計算ミスが発生したりした場合は書き直しが必要です。デジタル文書で作成する場合と比べて時間がかかることを覚悟しておかなければなりません。
請求書に記載する項目とは?
一人親方が請求書を作成する際に記載が必要な項目は、以下のとおりです。
- 題目:「御請求書」「〇月分御請求書」などと書きます。
- 請求書番号:必須ではありませんが、個人で請求書を管理する際に便利なため、右上に記載しておくとよいでしょう。発行年や取引先を区別できるようにするのがおすすめです。
- 宛先:請求書を送付する相手の会社名・事業部名・担当者名・住所・連絡先を書きます。会社の場合は「〇〇御中」、個人の場合は「〇〇様」としましょう。
- 発行日:請求書を発行した日ではなく、取引先が指定する締め日とすることもあるため確認が必要です。
- 作成者:請求書を作成した側の氏名・住所・連絡先を書きます。
- 請求明細:商品名や単価・数量・消費税額・合計金額などの内訳を書きます。
- 振込先:振り込みをしてもらう口座の銀行名・支店名・口座の種類・口座の名義・口座番号を書きます。振込手数料を相手に負担してもらう場合は、その旨を記載しましょう。
- 支払期日:契約の際に定めた支払い期限を書きます。
- 特記事項:特に明記しておくべきことがある場合に記載しましょう。
一人親方が請求書を書く際のチェックポイント
一人親方が請求書を作成する際には、事前に確認しておきたいポイントや注意点がいくつかあります。間違った請求書を送付してトラブルになることを防ぐためにも、一つひとつ詳しくチェックしていきましょう。
取引先に請求書のフォーマットを確認する
個人事業主である一人親方と法人では、請求書の書き方に違いはありません。記載する内容も同じなため、企業に勤めていたときに請求書を作成された経験がある方なら、一人親方になった後も心配することはないでしょう。
ただし、取引先によっては請求書の書き方にルールを定めており、決まった形式の請求書しか受け取らないようにしているところもあります。事前に、取引先へ請求書のフォーマットをどのようなものにするか確認しておくとよいでしょう。
印鑑の有無について確認する
「請求書に押印は必要なのか?」と疑問に思われる方は多いかもしれません。
そもそも請求書の作成自体が法律で定められているものではなく、口頭での請求で起こりうるトラブルを防ぐ目的で発行しています。
そのため、本来は請求書に押印をする必要はありません。
しかし現状では、押印は発行者の証明ができ信頼度も高まるものとして、ほとんどの取引で請求書に印鑑が押されています。
印鑑のない請求書は受け付けないようにしている企業もあるため、事前に確認したほうがよいでしょう。
個人事業主の場合は法人のような角印や丸印を用意する必要はなく、普段使用している印鑑で問題ない場合が多いです。
源泉徴収税の有無を確認する
個人事業主の業種によっては、取引先である企業から源泉徴収税額が差し引かれた報酬額が入金されることがあります。
その場合、請求書に源泉徴収税額を記載しなくても特に問題はありません。
しかし、請求書に源泉徴収税額が記載されていれば法人側は計算する手間が省けることになり、負担が軽く済むでしょう。
そのような観点から、請求書には源泉徴収税額を記載したほうがよいといえます。
源泉徴収税額の算出方法は、請求額が100万円を超えるかどうかで変わってくるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
取引先に発行日の設定方法について確認する
いつの仕事に対する請求なのかを明確にするためにも、請求書には発行日の記載が必要です。日付が記載されていない場合は架空の取引を疑われる可能性があるため、十分注意してください。
発行日は請求書を作成した日付ではなく、発行した日付のことです。請求書を作成してすぐに取引先へ送付しないときは、送付する日付を記載しなければなりません。
実際に多いのが、取引先の締め日にあわせて請求書を発行するケースです。トラブルなくスムーズに代金を回収するためにも、取引先としっかり相談したうえで発行日を決めましょう。
小計・消費税・合計金額の正当性を確認する
請求書を作成する際には、消費税の書き方に注意が必要です。基本的には合計金額のみを記載しても法律上は問題ありませんが、消費税の金額が一目で分かるようにしたほうが、請求書を受け取る側としても安心でしょう。
取引先から特に指定がなければ、「税込価格」「税抜価格」「消費税額」の3つを記載することをおすすめします。
記載方法としては、
「本体金額(税別価格)〇円
消費税額〇円
消費税込金額〇円」
とするとよいでしょう。
インボイス制度の導入で何が変わるのか?
請求書上の税率を正確に把握し、ミスや不正を防ぐことを目的として、2023年10月より「インボイス制度」が導入されることが決定しています。
インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」といい、この制度が導入された後は発注者が仕入税額控除を受けるためにインボイスの発行が必要条件となります。
つまり、インボイスを発行していない事業者から仕入れを行っても仕入税額控除が受けられないため、インボイスを発行できる課税事業者との取引を希望する取引先が増えるということです。
免税事業者の割合が多い個人事業主の中には、取引先を失う方が出てくることも予想されます。取引を継続してもらえたとしても、消費税分の報酬を減らされてしまう可能性も考えられるでしょう。
そのような事態になることを回避するためには、免税事業者である個人事業主は、インボイス制度導入後に課税事業者への登録を行うことを検討する必要があります。
ただし、課税事業者への登録を行えば消費税の納税義務が発生することになるため、その負担も含めて慎重に考えなければなりません。
もし課税事業者になるのであれば請求書のフォーマットを作成し直すなど、インボイス発行の準備が必要です。制度開始までにインボイスを発行したければ、早めに準備を始めたほうがよいでしょう。
まとめ
個人事業主の一人親方による請求書の書き方について、作成方法や記載する項目・作成時のチェックポイントなどをご紹介しました。
請求書の書き方は個人事業主でも法人でも大きく違いはありませんが、源泉徴収税額の記載に関することなど個人事業主ならではの注意点もあるため、しっかりと確認しておく必要があります。
また、2023年10月に導入されるインボイス制度の影響を受ける一人親方の方もいらっしゃるはずです。
制度の導入に向けてどのような選択をすべきなのか、じっくりと考えておくとよいでしょう。