一人親方労災保険の「労災センター通信」

一人親方が必要な安全書類とは?種類や書き方などを徹底解説

建設業においては、現場に入る前に安全書類の提出を求められるケースも少なくありません。
安全書類とは、安全に関する情報を記入および指示が記載されている書類のことです。
作業員の命を守る重要な役割があります。

社員で働く作業員は、会社で作成・提出するのが一般的です。
しかし、一人親方はご自身で作成・提出します。
元請業者に安全書類の提出を求められたけれど、作成方法や書き方がわからない方も多いでしょう。

そこで当記事では、安全書類の意味から書き方まで、徹底解説します。
当記事を読むことで、一人親方が提出すべき安全書類の種類および書き方をマスターできます。
安全書類

一人親方が提出しなければならない「安全書類」とは

安全書類とは、建設現場において作業員の安全を守る役割がある書類のことです。
労働安全書類やグリーンファイルなどと呼ばれる場合もあります。

簡単にいえば、安全に関する情報の記入および指示が記載されている書類です。
下請業者が建設現場の管理者(一次元請業者)や、安全担当者(元方事業者)に提出する書類で、工事体制・作業員・作業内容などの把握に使用されます。

安全書類の作成・提出に法的な義務はありません。
しかし、建設業法第四十条の三 により「建設業者は、営業所ごとに国土交通省令で定めるところにより、帳簿および営業に関する図書で保存しなければならない」としています。
帳簿の保存期間は5年間です。

つまり、元請業者にとって必須な書類であるため、建設工事に携わる作業員は作成せざるを得ない書類となります。

安全書類の種類

安全書類は20種類以上におよびます。
以下は、代表的な安全書類の一覧です。

書類名 詳細
作業員名簿 作業員の氏名や緊急連絡先等の情報を記載した書類
火気使用願 火気使用の許可を申請する書類
有資格者一覧 労働安全衛生法に定める資格者をまとめた書類
再下請負通知書 一次下請業者以下の下請契約を元請業者に報告する書類
年少就労報告書 満18歳未満の作業員を自社責任で就労させるのを申告する書類
下請負業者編成表 工事に関わる会社名・工事内容・責任者名等を記載した書類
高齢者就労報告書 高齢の作業員を自社責任で就労させるのを申告する書類
工事・通勤用車両届 現場に入る工事用車両および会社から現場まで向かう際に使用する車両を管理する書類
工事安全衛生計画書 危険が高い工事現場においてリスクを予測・分析し、安全に作業を進めるための書類
安全ミーティング報告書 安全ミーティングが実施されたことを証明する書類
外国人就労に関する誓約書 法令に違反して不法に就労する外国人を雇用していない「外国人労働者の就労に関する提出書類等」に必要事項を記載したうえで就労させるのを誓約する旨を示した書類
新規入場時等教育実施報告書 下請業者の作業員が安全衛生教育を受けて現場に入るのを元請業者に報告する書類
持込機械等(移動式クレーン・車両建設機械等)使用書 現場に持ち込む機械が安全であるのを証明する書類

上記のように、安全書類にはさまざまな種類があります。
なお、必要事項が網羅されていれば、様式に定めはありません。

一人親方が提出すべき安全書類とは

一人親方
一人親方が提出すべき安全書類について解説します。

工事の規模に関わらず提出が必要な書類

工事の規模に関わらず、一人親方が提出すべき安全書類は、以下3種類です。

  1. 再下請負通知書
  2. 請負契約書
  3. 作業員名簿

それぞれ解説します。

再下請負通知書

再下請負通知書は、元請業者が下請業者の契約情報を把握して安全に工事を進められるよう、管理するための書類です。
提出することで、安全に工事を進められます。
一次下請業者と契約した二次下請業者および二次下請業者と契約した三次下請業者等、すべての下請業者が作成します。

再下請負通知書は、工事開始前に提出を求められるケースが一般的なため、提出しなければ現場には入れません。

請負契約書

請負契約書とは、元請業者と下請業者の間で交わされる契約書です。
下請業者が仕事の完成を約束し、対価として元請業者が報酬の支払いを約束する書類となります。
請負契約書をもって、下請業者は仕事の完成における責任・義務を負い、元請業者は報酬の支払い義務が発生します。

建設業では、複数の元請業者から仕事を請け負うのが一般的です。
口約束のみで契約を交わす場合、提示された報酬を支払ってもらえなかったり、契約範囲以上の作業を任されたりする可能性もあります。
契約内容に関するトラブルを回避するためにも、請負契約書が必要です。

作業員名簿

作業員名簿とは、工事現場に入る全作業員の情報を把握するために用いられる書類のことです。
建設業法施行規則において、施工体制台帳の一部として作成が義務づけられています。
施工体制台帳とは、受注者である建設業者が下請契約を締結する際に、金額問わず作成および提出が義務づけられている台帳です。

作業員名簿を提出することで、労災事故が発生した際に被災した作業員を把握でき、スムーズな連絡対応も可能になります。
作業員名簿も現場に入る前に、元請業者に提出する書類です。

出典:国土交通省 施工体制台帳の作成等について(通知)
さいたま市建設局技術管理課 施工体制台帳等の記載ガイドライン

現場や元請業者によって提出が必要な書類

現場や元請業者によって提出が必要な書類は、以下の6種類です。

  1. 資格保有証明書
  2. 新規入場者調査票
  3. 一人親方労災保険特別加入証明書
  4. 建設業退職金共済証紙交付辞退書
  5. 建設業許可証および主任技術者証明書
  6. 持込機械等(移動式クレーン・車両献饌ツ機械等)使用届

それぞれ解説します。

資格保有証明書

資格保有証明書は、作業内容によって提出が求められる書類です。
たとえば、労働安全衛生法 第六十一条 によると、クレーン車は免許を取得した者、もしくは技能講習を修了した者しか運転できないと定められています。

請け負う工事によっては、資格を必要とする作業もあるでしょう。
その場合に、資格保有証明書を提出することで、作業が可能になります。

新規入場者調査票

新規入場者調査票は、初めて請け負う現場で作業する際に作成・提出する書類です。
作業員の氏名・生年月日・血液型等の情報を記入します。
現場で事故が発生した際、作業員の個人情報を把握するために用いられます。

一人親方労災保険特別加入証明書

一人親方労災特別加入証明書は、労災保険への加入を証明する書類です。
元請業者によっては、労災保険の加入を必須としている場合があります。

一人親方でも労災保険の特別加入制度を活用することで、加入できるため、現場に入る前に手続きしておきましょう。

建設業退職金共済証紙交付辞退書

建設業退職金共済証紙交付辞退書は、建設業退職金共済制度に未加入もしくは他の退職金制度に加入している場合に、証紙の交付を辞退するために提出する書類です。

公共工事においては、工事費に建設業退職金共済証紙代金が含まれている場合もあります。
その場合は、提出を求められるケースもあります。

建設業許可証および主任技術者証明書

建設業許可証は、工事の請負金額が500万円を超える場合に必要な書類です。
工事の規模が大きく、請負金額が500万円を超えるケースでは、建設業許可証を提示しなければ工事を受注できません。

主任技術者証明書は、業務において専門的な知識および経験を持つ者であると証明する書類です。
建設業許可を受けている一人親方は、請負金額が500万円以下の場合でも、主任技術者証明書を提出します。

持込機械等(移動式クレーン・車両建設機械等)使用届

持込機械等(移動式クレーン・車両建設機械等)使用届は、現場に持ち込む機械の点検整備を実施したうえで持込・使用を届け出る書類です。

建設工事では、クレーンを使用して作業する場面も少なくありません。
整備に不備があれば、作業員の身に危険をおよぼすリスクがあります。
加えて、使用方法を誤れば、大きな事故につながる恐れもあるでしょう。

そのため、どの作業員がどのような機械を使用しているのか、点検整備は万全かなど、届け出る必要があります。
使用届は重機の使用ごとに提出します。

一人親方における安全書類の書き方

一人親方の書類の書き方
一人親方における安全書類の書き方を解説します。

再下請負通知書の書き方

国土交通省では、再下請負通知書のフォーマットが提供されています。

※引用:国土交通省 再下請負通知書(作成例)

上記にあわせて、事業者の詳細や建設業の許可などの項目を記載する必要があります。

再下請負通知書の書き方で一人親方が疑問を抱くのは、健康保険等の加入状況でしょう。
健康保険の加入状況は事業所として記入する項目のため、すべて適用外にします。

作業員名簿の書き方

※引用:国土交通省 作業員名簿(作成例)

作業員名簿には、ご自身の氏名・生年月日等を記入します。
入場年月日は工事開始日の決定後に記入するため、着工前に提出する場合は空白で問題ありません。

国土交通省のホームページからダウンロードできるため、必要に応じて活用しましょう。

一人親方は安全書類の提出に加えて労災保険への加入も必要

一人親方は安全書類の提出に加えて、労災保険への加入も必要です。
安全書類は、一人親方の安全を守るための書類です。

しかし、万が一の事態が発生した場合、国民健康保険では労災がおりません。
もしもの場合に備えて、労災保険への加入を検討しましょう。

労災保険への加入を検討している方は「一人親方団体労災センター 」に、お問い合わせください。
初年度のみ1,000円の入会費がかかりますが、組合費500円(月額)で追加費用は一切ありません。
また、最短翌日から加入できるため、すぐに現場に入る必要がある場合はぜひご検討ください。

まとめ

安全書類とは、安全に関する情報を記入および指示が記載されている書類です。
従来、会社が作成して元請業者に提出する書類ですが、一人親方はご自身で作成・提出します。
法的な定めはありませんが、元請業者にとって必須な書類であるため、作成せざるを得ません。

なお、現場や元請業者によって求められる安全書類は異なります。
あらかじめ、元請業者に確認してから安全書類を作成しましょう。

下請負通知書や作業員名簿は、国土交通省のホームページからダウンロードできます。
その他の安全書類は、一般社団法人全国建設業協会グリーンサイト のホームページからダウンロード可能なため、活用しましょう。

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