一人親方労災保険の「労災センター通信」

一人親方に必要な資格とは?建設業で独立するための準備を解説

一人親方として独立する場合に、何らかの資格が必要になるのかと思う方はいるかもしれません。
資格には、独立する際に取得しておくべき資格と、取得しておくと仕事に役立つ資格があります。

一人親方は会社に属さずに一人で事業を営む「経営者」としての側面があります。
経営者として事業を持続していくための難易度も高いため、業界で生き残り活躍していくためには、資格取得は必要でしょう。

今回は、一人親方が独立するための準備としてどのような資格が必要なのかについて解説します。
一人親方の資格取得

一人親方が取得すべき資格

一人親方として建設業で独立する場合、技術力や信頼性を証明するために資格は重要です。
資格は対象のスキルが認められる、一定の作業を行ってもよいと認められる実績で与えられるからです。
そのため、資格の有無は独立して事業を継続していくうえで、大きな鍵を握るといっても過言ではありません。

一人親方が取得するべき資格には、一人親方として建設業を営むうえで必要な資格があります。
ここでは、必須といえる建設業許可と職長・安全衛生責任者について解説します。

建設業許可

建設業許可は、建設業法により下請け金額が政令に定める金額以上の建設事業を行うために必要と定められています。
建設業法施行令においては500万円と定められており、500万円未満の軽微な工事であれば建設業許可は必要ありません。
言い換えると、建設業許可の資格がなければ500万円以上の工事は受注できないため、規模の大きな工事に携わっていきたい場合は、取得するべき資格です。

職長・安全衛生責任者

職長や安全衛生責任者の資格は絶対に必要ではありません。
しかし、事業者としてこの資格を取得していないと工事に携われない現場は存在します。

会社に雇われている従業員であれば、その会社に職長や安全衛生責任者の教育受講者がいれば問題ありません。

しかし、一人親方の場合は本人が取得しておく必要があります。
職長や安全衛生責任者は講習を受講すると取得できるため、難しいものではありません。
講習が開催されているタイミングをみて受講するとよいでしょう。

一人親方が営業力アップにつながる資格

一人親方が建設業で成功するためには、建設業許可や職長・安全衛生責任者の資格だけでなく、技術力や知識を証明できる資格を取得し、競争力や信頼性を高める必要があります。
資格の取得は一人親方としての専門性を高め、より多くの仕事を請け負えるようになります。
また、リピート案件につながる可能性も高くなるでしょう。

ここでは、営業力アップにつながる資格について解説します。

建築施行管理技士(1級・2級)

建築施工管理技士は、建築工事の施工計画や現場管理を行うための国家資格です。
2級は中小規模の建築工事や一部分野における管理業務、1級は大規模な建築工事を含む全ての規模の工事、総合的な管理に対応できます。

建設業許可を取得する際の「主任技術者」や「監理技術者」として有効な資格となるため、建築業界でキャリアアップを目指す方に最適です。

土木施行管理技士(1級・2級)

土木施工管理技士は、土木工事の施工計画や現場管理を行うための国家資格です。
建築施工管理技士同様、2級は中小規模の工事や一部分野における管理業務、1級は大規模工事や総合的な管理が可能です。

取得すれば、公共工事の入札参加資格や顧客からの信頼度が向上し、営業力が強化されます。
土木工事に従事する方や現場責任者を目指す方におすすめです。

電気工事士(第一種・第二種)

電気工事士は、電気設備の設置や修理を行うための国家資格です。
第二種は低圧で受電する一般住宅や小規模施設向け、第一種は工場や大規模施設の電気工事にも対応できます。

電気工事に携わる方や独立を目指す方に最適な資格です。

内装仕上げ施工技能士

内装仕上げ施工技能士は、内装工事における壁紙貼り、床仕上げ、塗装などの技能を証明する国家資格です。
住宅や商業施設の内装工事で活躍し、顧客への信頼度アップや受注増加につながります。

内装工事の経験者や内装スキルを客観的に証明したい方におすすめです。

足場の組立て等作業主任者

足場の組立て等作業主任者は、足場の組み立て・解体・変更作業において、安全管理を行うための国家資格です。
建設現場でつり足場、張り出し足場、高さが5メートル以上の構造の足場の組み立て、解体や変更の作業を行うために必要不可欠な資格であり、事故防止や作業効率の向上に大きく貢献します。

足場作業に従事する方や現場責任者を目指す方に最適な資格です。

ガス溶接技能講習修了証

ガス溶接技能講習修了証は、ガス溶接や切断作業を安全に行うための知識と技能を証明する資格です。
建設現場や金属加工の作業で使用され、特に配管工事や修理作業で役立ちます。

溶接作業に携わる予定のある方や多能工(1人で複数の業務を担当すること)を目指す方におすすめです。

玉掛け技能講習修了証

玉掛け技能講習修了証は、制限荷重1トン以上の揚貨装置、つり上げ荷重1トン以上のクレーン、移動式クレーンもしくはデリックの玉掛け業務において荷物の安全な吊り上げを指揮・実施する技能を証明する資格です。
建設現場や物流業務で重機を扱う際に必須で、安全性向上や作業効率改善に寄与します。

一人親方が取得すれば対応できる業務が増え、営業力アップにつながります。
クレーン作業に関わる予定のある方におすすめです。

とび技能士

とび技能士は、とび職に必要な専門技術や知識を証明する国家資格です。
建設現場での足場設置や解体、高所作業において信頼性を高める資格です。

資格保有者は安全管理や作業効率の向上で差別化でき、一人親方としての営業力強化に直結します。
とび職経験者や技術を客観的に証明したい人に最適です。

一人親方が資格取得で得られるメリット

一人親方の資格取得のメリット
一人親方が資格取得で得られるメリットは、対応できる作業の拡大やクライアントからの信頼性の向上です。
信頼性が向上し、スキル的にも対応できる内容が増えると、新しい仕事の開拓につながり、収入アップにもつながるでしょう。

資格取得の主なメリットについて、詳しく解説します。

信頼性の向上と受注の拡大

たとえば建設業許可の資格を取得するためには、資格を取得し、専任技術者になる必要があります。
ほかにも、経営面、資本金などの財産面、失格要件に該当していないかなどの条件もあり、一人親方が建設業許可を取得するのは簡単なものではありません。
取得が難しい分、建設業許可の資格保有者は信頼性の向上につながります。

また技術資格を取得すると、該当部分の仕事の請負が可能です。
資格取得は受注の拡大につながるのが大きなメリットだといえるでしょう。

新しい仕事の開拓と収入アップ

土木・建築に関する建設に関連する資格はたくさんあります。
特に国家資格を取得しておけば、専門性が補償されるため、元請けやクライアントにもアピールできます。
受注していた案件以外の部分でも同業者との差別化ができるため、新しい仕事の開拓につながり、収入アップが期待できるのです。

たとえば、施工管理技士を持っているのと持っていないのとでは、安心感が変わってきます。
資格取得が認識されれば、自分から営業しなくてもリピートや紹介してもらえる可能性が高くなるでしょう。

一人親方が資格以外で必要な準備やスキル

一人親方としてのスキル
一人親方は資格を取得したからといって、成功が約束されたわけではありません。
なぜなら、会社勤めとは違い、経営、財政、営業を含め全て一人で対応する必要があるからです。

ここでは、一人親方になるために資格以外で必要な準備やスキルについて解説します。

自営業として必要な税務と経理の知識

一人親方として活動するうえで、税務と経理の知識は欠かせません。
収入や経費を正確に管理できないと経営がなりたたず、確定申告においても適切な申告処理が行えなくなります。
知識があれば節税にもつなげられ、事業資金の負担軽減も可能になるでしょう。

また、青色申告をする場合、帳簿管理も必須です。
自分で難しい場合は税理士への相談も検討しましょう。
経理の基礎が身についていれば、事業の透明性が保たれ、クライアントからの信頼にもつながります。

コミュニケーションと営業力

一人親方として成功するためには、コミュニケーション力と営業力も必要です。
元請け企業やクライアントと良好な関係を築くには、コミュニケーションは必須だからです。
コミュニケーションがうまくいかなければ、継続的な仕事の受注につながらず、信頼関係の構築も難しくなるでしょう。

営業活動としては、自分のスキルや実績をアピールする営業力も必要です。
仕事を探す際に自分の専門分野や資格を伝えるのも効果的でしょう。
さらに、SNSや一人親方向けのマッチングサイトを活用するのも、新しいクライアントとの接点を作るうえでよい手段となります。

新しいクライアントとなる可能性がある会社や事業者との接点を作り仕事を獲得するうえで、コミュニケーション力と営業力は大切なスキルだといえます。

経営者視点での思考のスキルアップ

一人親方として成功するためには、経営者視点での思考のスキルアップも欠かせません。
一人親方は作業者であり、経営者でもあります。
作業だけのスキルだけではなく、経営者視点の思考もなければ一人親方として稼げる、成功するとは限らないのです。

一人親方として独立していこうと考えるのであれば、経営者視点を持つようにし、思考のスキルアップは必要でしょう。

まとめ

一人親方として独立したい場合、現場に入るために取得しておくべき資格と、営業に有利になる資格があります。
また、仕事の幅や一人親方としての信頼性が高められます。
資格が全てではありませんが、資格は大きな武器となるため、ぜひ資格取得を前向きに進めましょう。

資格だけでなく、労災保険への加入も重要です。
たとえば、建設業の資格を有していても労災保険未加入のため受注できない可能性もあるでしょう。

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労災保険に加入しておけば、病気や業務上の怪我で仕事ができなくなった場合でも安心です。

労災保険を資格の1つとして考え、万が一働けなくなったときのためにも、加入を検討しましょう。

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