一人親方は個人で仕事をしているため、会社員とは違った目線でローン審査が行われます。
会社員に比べて審査はやや厳しくなりますが、正しい知識と準備があれば、住宅ローンやマイカーローンなどを組むことは十分に可能です。
本記事では、一人親方がローンの審査でチェックされる項目やローンを組むために必要な準備などを解説します。
ローンを組もうと考えている一人親方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
一人親方はローンを組める?
結論からいうと、一人親方でも住宅ローンやマイカーローンを組むことはできます。
ただし、会社員に比べて審査に通りにくいのが現実です。
会社員は毎月の給料が安定していて、会社がその信用を支えています。
一方、一人親方は自分の収入だけで「きちんと返せる人」と証明しなければいけません。
収入の変動があるうえ、病気やケガで働けなくなると収入がなくなるリスクもあります。
だからこそ、金融機関は慎重に判断します。
しかし、事業が安定していて必要な準備ができていれば、ローンを組むことは十分に可能です。
一人親方がローン審査でチェックされる項目
一人親方がローン審査でチェックされる項目は4つあります。
それぞれのチェック項目を詳しく解説します。
過去3年の所得が黒字かどうか
一人親方がローンを申し込むときに確認されるのが、過去3年間の所得が黒字になっているかどうかです。
黒字というのは、売上から経費を引いたあとにきちんと利益が出ている状態のことを指します。
住宅ローンの審査では、3年分の確定申告書と決算書をもとに、平均の所得額を見られるのが一般的です。
ただし、金融機関によっては3年のうち一番少ない年の所得をもとに審査することもあり、赤字があると審査に通らない場合もあります。
また、売上ではなく、所得が基準になる点にも注意が必要です。
たとえば、年に800万円の売上があっても、経費が500万円かかれば所得は300万円となります。
会社員と比べると見られる基準が厳しいため、できるだけ安定して黒字を出していることがローン審査に通るポイントになります。
税金や社会保険料を支払っているか
一人親方がローンを申し込むとき、税金や社会保険料をきちんと支払っているかも重要なチェックポイントです。
会社員は税金や社会保険料が給料から自動で引かれますが、一人親方は自分で支払わなければなりません。
そのため、うっかり払い忘れてしまうことも少なくありません。
審査では、確定申告書や納税証明書から所得税や住民税、国民健康保険、国民年金などの支払いがきちんと行われているかが確認されます。
未納がある場合は、少額でも「ローンの返済も遅れるのではないか」と金融機関に不安を与えてしまう可能性があります。
そうなるとローンを組むのが難しくなってしまうため、ローンを申し込む際は事前にきちんと納付しておきましょう。
信用情報に問題がないか
住宅ローンの審査では、「この人はきちんとお金を返してくれるか」を調べるために、過去のクレジットカードやローンの返済記録である信用情報がチェックされます。
信用情報には、ローンの利用額や支払い状況、遅れた回数などが記録されており、金融機関はこれをもとに返済能力を判断します。
過去に支払いの遅れや滞納があった場合、それが記録されていると、審査でマイナス評価につながりかねません。
信用情報は、全国銀行個人信用情報センター、株式会社シー・アイ・シー、株式会社日本信用情報機構など複数の機関が保管しています。
自分の情報が気になる方はローンの申し込み前に、自分の情報を開示請求しておくと安心です。
小さな遅れでも記録に残るため、日ごろから支払いをきちんと行いましょう。
健康状態に問題がないか
一人親方としてローンを組む際には、健康状態も審査対象になることがあります。
一人親方は一人で仕事をしているため、自分の体が資本です。
もし病気やケガで働けなくなったら、収入がゼロになってしまう可能性もあります。
そうなると、ローンの返済が難しくなるリスクが高まるため、金融機関は健康状態にも注目するのです。
特に住宅ローンを申し込むときは、多くの金融機関で「団体信用生命保険(団信)」への加入が必要になります。
団信とは、ローンを返している途中で契約者が亡くなったり、重い病気やけがで働けなくなったりした場合に、保険が残りのローンを払ってくれる仕組みです。
団信に入るためには、生命保険と同じように健康状態を正しく伝えなければいけません。
持病があったり、過去の病気で治療中だったりすると、団信に入れないこともあります。
団信への加入が住宅ローンの条件となっている場合は、ローンが組めなくなるかもしれません。
また、借入額が大きいときには健康診断の結果を提出しなければならないケースもあります。
住宅ローンを申し込むときは、なるべく健康状態が安定しているタイミングを選ぶとよいでしょう。
一人親方がローンを組むために必要な準備
一人親方は、会社員に比べてやや審査が厳しくなるため、ローンを申し込む際は事前準備が重要です。
ここでは、一人親方がローンを組む際にしておくべき準備を解説します。
自己資金を準備する
ローンを申し込むときは、できるだけ多くの自己資金(頭金)を用意しておきましょう。
自己資金が多ければ、その分借りる金額が少なくなります。
ローン審査では「返済比率」という基準があり、「年間の返済額が年収の何%か」を見られています。
返済比率は「年間返済額÷年収×100」で計算され、理想は20〜25%以下です。
この数値が高すぎると、「この人は無理な返済になるかもしれない」と判断されてしまうかもしれません。
しかし、自己資金を多く出すことで借入額が減り、返済比率も下げられます。
また、しっかりお金を貯めてきたという事実は、「計画的にお金を管理できる人」として信用にもつながります。
つまり、頭金を準備することは、審査に通りやすくなるだけでなく、返済を楽にするためにも重要です。
過度な節税をしない
一人親方は、できるだけ税金を少なくするために、仕事にかかった費用(経費)を多めに申告して節税することがあります。
たしかに税金を減らすのは重要ですが、ローンを申し込むときには注意が必要です。
ローン審査では所得の金額が見られるため、経費が多く所得が少なくなっていると、「この人はあまり返せる余裕がない」と判断され、審査に通りにくくなってしまう可能性があります。
そのため、ローンを組む際は、必要以上に節税しすぎないように気をつけましょう。
節税したい場合は、借り入れたい金額のローンに通るためにいくらの所得があればよいのか計算して、その範囲内で節税対策をしましょう。
無理のない範囲で利益を出すように調整することが、信用される一歩になります。
ほかのローンは完済しておく
ローンを申し込むとき、すでにほかのローンを組んでいるかどうかも審査の対象になります。
たとえば、住宅ローンを申し込むときに、マイカーローンやカードローンなどがある場合、件数や金額もチェックされます。
借入件数が多かったり、金額が大きかったりすると、「この人はすでに返済で手いっぱいでは?」と判断されて、審査が不利になるかもしれません。
また、返済負担率の計算にほかのローンの返済額が含まれるため、住宅ローンの借入可能額が減ってしまう可能性があります。
できれば、住宅ローンの申し込み前に、ほかのローンは完済しておくのが理想です。
完済が難しい場合は、件数や金額をなるべく減らしておくことで、審査に通る可能性を高められます。
一人親方がローンで借りられる金額
一人親方がローンで借りられる金額を、住宅ローンとマイカーローンに分けて解説します。
住宅ローン
一人親方が住宅ローンを組む場合、借りられる金額は年収の5〜8倍が目安とされています。
たとえば、年収が400万円であれば、2,000万〜3,200万円程度まで借りられる可能性があります。
ただし、実際の借入限度額は金融機関によって異なるため、これはあくまで目安での数値です。
具体的には、フラット35では上限8,000万円、民間の銀行では1億円ほどまで借りられるケースがあります。
基本的には、年収に対する年間返済額の割合である返済比率が低いほど、審査でも好印象となります。
また、審査では過去3年の黒字所得や納税の実績なども確認される項目です。
事業が安定していて、信用情報にも問題がなければ、一人親方でもしっかりと住宅ローンを組むことは十分に可能です。
マイカーローン
一人親方がマイカーローンを利用する場合、借りられる金額は銀行やローン会社によって異なります。
たとえば、ある銀行では10万円以上300万円以内、別の銀行では50万円以上1,000万円以内といったように、設定されている金額の幅も違うのです。
審査基準も金融機関ごとに異なり、「この人はお金をちゃんと返せるか?」を判断するために、これまでの所得や信用情報などが確認されます。
収入があっても信用情報に問題があると、審査に通らないケースも少なくありません。
また、借りたい金額が大きいほど、より厳しく審査されるでしょう。
自分の経済状況に合った金額で、無理なく返せる計画を立てることが大切です。
まとめ
一人親方でも、しっかりと準備をすれば住宅ローンやマイカーローンを組むことは可能です。
たしかに会社員に比べると審査が厳しくなる傾向はありますが、過去の所得が黒字であることや税金、社会保険料の支払い、信用情報に問題がないことなどをきちんと整えておけば、金融機関からも信用されやすくなります。
また、自己資金をしっかり貯めておいたり、必要以上の節税を控えたりすることも、ローン審査に通るためには大切です。
ほかのローンを整理しておくことも、借入可能額を増やすポイントになります。
一人親方だからといって、ローンをあきらめる必要はありません。
今の自分の状況を正しく把握し、着実に準備を進めていけば、夢のマイホームや車を手に入れることはできるでしょう。